鹿児島大学 医歯学教育開発センター

教員日誌医歯学だより

No. 19 新年

明けましておめでとうございます。本年もよろしくお願い申し上げます。

医学教育において今年は分野別認証評価の開始が大きな話題となります。認証評価はプログラム評価のひとつです。プログラムの評価はデータを計画的に収集し、基準と比較して報告し、判断するという一連の作業です。特に認証評価は教育の計画、運営、成果、改善過程にいたる包括的な医学教育の評価であり、評価を受ける義務を伴う総括的評価=適合、不適合が判断されることから各医学部には慎重な準備が求められます。

数値目標のない評価基準を用いた判断をいかに行うのか、その判断を誰がするのかという評価組織に関する文書の公表が待たれます。しかし、教育の理念に基づいたカリキュラム構築や、求める教育の成果が共有されていないのが日本の現状です。認証評価の基礎となるべき期待される教育成果がコンピテンシーフレームワークとして明示されているわけではありません。臨床での実践能力やプロフェッショナリズムなどアウトカム(学習成果)基盤型教育の成果を評価する方法も未熟です。どのような状況で何を、どの程度学生ができるようになれば、十分な教育を行っていると判断されるのでしょうか。認証評価の必要性に対して疑問を挟む余地はありません。認証制度をきっかけに日本の医学教育がグローバル化されることは学生、社会にとって大きなメリットになります。医学教育を担当するひとりとして、優れた教育を高く評価し、より良い教育の後押しをする制度であるようにと期待します。

多くの医学部が認証評価に見合うカリキュラムへの改革を検討しています。高校生の人数が減少し、医学部定員が増えても、卒業生100%が医師として実践の場で活躍できる能力を備えているという社会からのニーズに応える教育は、タイムテーブルの作成だけでは実現しません。多くの人が関わることが要求され、また医学教育学を生かすことが必要となります。医学部教員にはこれまでと異なる教育能力が求められるでしょう。

鹿児島大学も新たなカリキュラムの検討に入ります。学生の声を生かし、特色ある教育の実現に向けて努力したいと考えております。

 

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