東北大震災で職業人としての行動を考えさせられる報道が多数ありました。自分の身を危険にさらしても他の人には出来ない自分の専門業務を遂行することが、人を守るために社会から求められると痛感させられました。これは決して無謀な危険を顧みない行動ではなく、専門家としての知識を活用し自分を守りつつ、高度な専門的能力を発揮して業務を遂行することであり、そのための努力を日々積み重ね、揺るぎない心構えを身につけていなければ出来ないことでしょう。そのような業務をやり遂げた人の言葉には優しさがあふれています。今、医学教育では医師のプロフェッショナリズムを医学生、研修医が修得する教育が必要であると言われています。望ましいロールモデルの傍らで、社会から認められる専門家としての医師のあり方を正しく心に刻み、そのために何をすべきかを考えることのできる学生は、将来プロフェッショナリズムを有した医師として活躍してくれるでしょう。そのような医療人を育成したいという思いで、日々の仕事をしています。
今回、医歯学教育開発センターのホームページを更新するに当たり、教員の思いを学生に伝えることはできないか、教員が持っている教育のノウハウを共有できないかと考え、このページを企画しました。教育は制度で行うものではありません。「声」が人間味あふれる教育には必要です。そして教員が忙しい日常業務に追われる中で、よい教育とは何かを考えていただきたいと思います。私を含め複数の教員に寄稿していただき、鹿児島大学教員の教育への思いを発信していきたいと考えています。