鹿児島大学 医歯学教育開発センター

教員日誌医歯学だより

No.6医学生とスポーツ:国際比較

医学部で部活はたいへん盛んです。受験勉強漬けだった学生に入学時「部活」を推奨し、体を鍛え、良い人間関係を築くようにと教員も学生の課外活動を支援しています。学生は学業にも部活にも熱心にとりくみ、かけがえのない学生生活を送っています。山形大学医学部が天皇杯の県代表になっているのをTVで見たときは、さすがに驚きましたが。

先日、ウイーンで開催されたヨーロッパ医学教育学会に参加してまいりました。全世界の医学教育に携わる人が参加する大きな学会です。ここでオーストラリアの学生が、「世界の医学生の生活に関するアンケート」を発表していました。ネットを利用し、アメリカ、イギリスは200名ほどの学生が回答しており、その他オセアニア、アジア(日本の回答はありませんでしたが)の学生も参加していました。生活時間に関する質問で「毎週何時間運動するか?」という項目は平均が週3時間。発表者は「医学生は多すぎず少なすぎず、適度な運動をしている」と説明していました。<うーん、日本の医学生、体育系の学生はこんな時間ではない・・・>

私の前任の大学を訪問したアメリカの医学教育専門の先生が、キャンパスで野球をしている医学生を見て「アメリカの学生には野球をやっている時間は無い」とつぶやいたのを思い出しました。その先生は「夏休みが長過ぎる。その期間も臨床実習をしなさい。」と言っていましたから、日本の医学部の教員、学生の考えと海外の医学教育には、根本的な違いがあるように思います。

医学教育では医師の人間性の涵養も求められています。グローバルスタンダード、質保証については前回、前々回にご紹介しましたが、医学部のカリキュラムや制度の問題の前に、日本の教育のあり方を考えなければならないようです。

 

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