平成23年4月より本医学科では必修科目「自主研究」がスタートしました。新カリキュラムの作成にあたり、担当委員から医学生の基礎研究への関心を高める必要性が指摘され、科学的な分析や応用・発展に対する理解は優れた臨床医にも必要であるという意見もあり、全員が修得する科目として新設されました。文部科学省でとりまとめられた医学教育改善の方向性にも「基礎と臨床の有機的連携による研究マインドの涵養」が取り上げられ、「まとまった期間研究に関わり、論文やレポートなどを発表させるなど研究者養成を目的とした重点コース、MD-PhDコース等の設定や、研究室配属など実際の研究に携わる機会の拡充をいっそう推進する」とあります。必修の学習内容を示したモデル・コア・カリキュラムの改訂にまで踏み込んだ記載となっていることからも医学生全員が修得すべき重要事項として掲げられていることが理解できます。
「研究マインド」とは何か。「進展著しい生命科学や医療技術の成果を生涯を通じて学び、常に自らの診断・治療技術等を検証し磨き続け、日々の診療の中で患者や疾患の分析から病因や病態を解明するなどの研究マインド」とあります。Scholarshipと定義づけられている概念が、研究マインドには必要と私は考えます。1990年Boynerは発見、統合、応用、教育にscholarshipが発揮されることが高等教育機関において評価されるべきとし、Glassickはscholarshipのcriteriaを、明確なゴール、適切な準備、妥当な方法、重要な結果、効果的な発表、批判的分析を備えるものとしました。医学生が限られた時間の中でscholarshipを修得する、少なくともその仕事の一部を経験することが自主研究の目標となるでしょう。私のところで自主研究を行っている学生さんが有意義な時間となるように私も日々の教育・研究活動を振り返り、指導したいと思います。