シェーグレン症候群は、主に涙を産生する涙腺と唾液を産生する唾液腺を標的とする膠原病です。「原発性」と関節リウマチや全身性エリテマトーデスなどのその他膠原病に合併する「二次性」に分類されます。涙腺、唾液腺の慢性的な炎症により機能が低下し、目がゴロゴロするといったドライアイ、口がパサパサするといったドライマウスを自覚するようになる「腺症状」が中心の疾患です。症状がひどくなるとドライアイによって角膜が傷つき、乾燥性角結膜炎がおこったり、ドライマウスによって口腔内の自浄作用などが低下し、虫歯になりやすくなったりすることもあります。こういった腺症状以外に、全身の倦怠感や関節痛、間質性肺炎、腎炎など「腺外症状」を起こす患者さんもいます。また、5 %程度と少数ですが悪性リンパ腫を合併することもあります。
診断のために採血で抗核抗体、抗SS-A抗体、抗SS-B抗体など特徴的な自己抗体の確認や、唾液量の測定、涙量の測定を行い、必要に応じて口唇腺生検、眼科受診による乾燥性角結膜炎の評価を行ってもらうこともあります。
腺症状は根本的に治癒を目指すことができないため、ドライアイに対しては人工涙液の点眼によって乾燥を防いだり、ドライマウスに対してはムスカリン作動薬の投薬によって唾液を出しやすくするように試みたり、人工唾液を用いたりして乾燥症状を軽快させることで生活の質を落とさないことを目標に治療します。腺外症状に対しては一定の見解がなく、障害されている臓器と患者さんの症状の状態にあわせてステロイドや免疫抑制剤などを用いることを検討します。