診療のご案内

造血幹細胞移植

どんな病気が対象?

 通常の化学療法だけでは治癒させることが難しい血液のがんなどに対して、完治させることを目的として行う治療です。

 急性骨髄性白血病、骨髄異形成症候群、急性リンパ性白血病、悪性リンパ腫(成人T細胞白血病リンパ腫を含む)、多発性骨髄腫、再生不良性貧血などが対象となります。

検査と診断は?

 すべての造血器疾患が造血幹細胞移植の対照となるわけではありません。通常の治療に比べて非常に強い副作用や合併症を生じるリスクがあることから、様々な方法を用いて丁寧に移植療法の対象かどうか(移植適応)、また適切な移植時期について検討いたします。

 具体的には採血、骨髄検査、フローサイトメトリー検査、染色体検査、遺伝子検査、CT、PET-CTなどを用いて移植療法の対象かどうかを判断いたします。

治療は?

移植前処置
移植療法は、大量の化学療法や全身への放射線治療などからなる移植前処置を行い、血液腫瘍細胞と患者さん自身の免疫細胞を抑えることが目的です。これによってドナーからの造血幹細胞が患者さんの骨髄で増殖する土壌を作ります。
輸注
自分(自家移植)またはドナー(同種移植)から事前(末梢血幹細胞の場合)ないしは当日(骨髄の場合)に採取された造血幹細胞を点滴で投与します(輸注と呼びます)。
生着
生着は輸注された造血幹細胞が増殖し、白血球、赤血球、血小板が十分量に増えた状態をいいます。移植後の最初の目標です。末梢血幹細胞、骨髄幹細胞、臍帯血幹細胞でそれぞれ生着までの時間に差があります。
移植片対白血病効果
自家移植の場合には前処置で投与した化学療法の抗癌作用に治療効果は依存します。
同種移植の場合には増えたドナーリンパ球が腫瘍細胞を攻撃することを期待します(移植片対白血病効果)。
移植片対宿主病
同種移植の場合には増えたドナー細胞は腫瘍細胞のみならず、患者の正常臓器を攻撃し、望ましくない合併症をきたします。重症度に応じて免疫抑制剤での治療を行います。
治療