悪性リンパ腫は、日本の成人では最も頻度の高い血液腫瘍で、血液中のリンパ球が腫瘍化(がん化)した疾患です。全身のいずれの場所にも病変が発生する可能性がありますが、多くの場合はリンパ節で発生し、頸部、腋窩、鼠径リンパ節の腫大で気付かれます。その他にも、胃、腸管、甲状腺、骨髄、肺、肝臓、皮膚、眼窩、脳などリンパ節以外の臓器にも発生することがあります。
悪性リンパ腫の確定診断は、生検により採取された腫瘍を用いた病理組織診断に基づきます。悪性リンパ腫は、腫瘍細胞の形態や性質からホジキンリンパ腫と非ホジキンリンパ腫に大別されますが、日本では大半が非ホジキンリンパ腫です。非ホジキンリンパ腫は、B細胞性とT細胞性およびNK細胞性に分類され、更に細かい病理組織型に分けられます。また、病状の進行速度によって三つの悪性度(低、中、高悪性度)に分類されます
確定診断後は、病変の広がりをみるために、CT検査、MRI検査、PET/CT検査等の画像検査をして病期を決定します。
悪性リンパ腫の治療は、病理組織診断、悪性度および病期分類に基づいて治療方針を決定します。化学療法や放射線治療が主体となりますが、悪性リンパ腫の種類や状態によっては、経過観察で様子を見たり、造血幹細胞移植をするなど治療法も異なってきます。
最も頻度の高い病理組織型であるびまん性大細胞型B細胞リンパ腫に対しては、抗CD20モノクローナル抗体であるリツキシマブ(R)とシクロフォスファミド・ドキソルビシン・ビンクリスチン・プレドニゾロン併用療法(CHOP療法)を併用するR-CHOP療法が標準治療となります。病期I期、II期の限局期では、R-CHOP療法3コースと放射線治療もしくはR-CHOP療法6~8コースします。病期Ⅲ期、Ⅳ期の進行期では、R-CHOP療法6~8コースします。