診療のご案内

白血病

どんな病気?

白血病は、造血幹細胞という血液のおおもとの細胞が増殖・分化を繰り返す過程において、人間が生きていく中で様々なストレスを受けることにより遺伝子変異を繰り返し、あるとき白血病細胞が生まれ、自律性増殖(成長因子などの影響を受けず勝手に無制限に増えていくこと)を繰り返す病気で、最終的には白血病細胞が体を占拠し死に至る極めて予後不良の疾患です。

検査と診断は?

人間の血液の細胞には白血球、赤血球、血小板という大きく分けて3種類の細胞があります。白血病の時には白血病細胞が勝手に増殖して血液の工場である骨髄を占拠してしまうために、正常の白血球、赤血球、血小板は少なくなってしまい、感染や貧血、出血といった症状を引き起こします。骨髄で増えた白血病細胞が流れる血の中に流れ出してきて、血液検査でこの細胞を見つければ診断できますが、骨髄の中だけにとどまっている場合、骨髄検査と言う骨髄成分を採取する検査で白血病を見つけなければ診断できません。

治療は?

基本的には抗がん剤を使用します。抗がん剤により、骨髄の中を占拠している白血病細胞を限りなく強く駆逐することで、骨髄で正常な細胞を作れる場所を確保し、正常造血により白血球、赤血球、血小板が回復してくるのを待ちます。ただ、回復するまでには数週間かかることが多く、この間は血が少ない状態が続きますので、感染症や出血・貧血の症状に注意し、必要な場合には抗生剤治療や輸血治療を行います。

最近の成績

急性白血病は特に経過が早く、再発率も高いため、昔は生存率も低く、不治の病のイメージが強い病気でした。しかし近年、抗がん剤治療に引き続き造血幹細胞移植を行うことにより、長期生存率も向上してきています。特に最近は遺伝子解析法も進歩し、予後不良の遺伝子を持つ患者さんを中心に、造血幹細胞移植療法を積極的に行うようになり、よりよい治療結果につながるようにしています。慢性骨髄性白血病に対しては、近年いくつかのチロシンキナーゼ阻害剤が導入され、以前と比べ飛躍的な治療効果の改善が得られており、長期生存率は通常の人とあまり変わらないくらいまで改善してきています。