当研究室(遺伝子治療・再生医学分野)では、再生医療、遺伝子治療、バイオテクノロジーと先端医学開発の研究を行っています。

報道されました:「再生医療の腫瘍化阻止のウイルス技術」 - 鹿児島大学大学院医歯学総合研究科 先進治療科学専攻 運動機能修復学講座 遺伝子治療・再生医学分野

「ヒトiPS細胞での再生医療で最重要克服課題の腫瘍化を「直接的」に阻止する新技術
〜腫瘍化原因細胞を特異的に殺傷する世界初かつ臨床化準備中の遺伝子組換えウイルス〜」

  

以下の我々の研究発表に関して、南日本新聞、朝日新聞(全国版)、産経新聞(全国版)、西日本新聞、東京新聞、京都新聞など、多くの新聞において報道されました。

 

以下が、今回の発表の要旨です。

 

 今回、m-CRA(多因子で精密にがん細胞を特異標的して治療する増殖制御型アデノウイルス)技術を応用することで、ヒトiPS細胞などのヒト多能性幹細胞を用いた再生医療の臨床応用において安全面での最重要の克服課題となっている「腫瘍化(がん化細胞だけでなく奇形腫も)」を「直接」阻止する新技術を開発しました。これは、腫瘍化の可能性を減弱させるという従来の「間接的」な技術とは違い、「『腫瘍化原因細胞』である混在する未分化細胞(奇形腫の原因)を特異的に殺傷・除去することで腫瘍化を『直接』阻止する」という新しい戦略です。しかも「腫瘍化原因細胞(未分化細胞)の中だけで増殖し、その細胞だけを特異的に殺傷する遺伝子組換えウイルス技術」の開発の報告は世界初であり、科学的にも独創先駆性が極めて高い研究成果です。さらに本研究で特に高い効果を示したサバイビン依存性m-CRA(Surv.m-CRA)は、本学・本邦発のがんへの革新的なウイルス医薬として実用化を目指した医師主導治験を本年度開始する予定であるように、臨床用の製剤としても開発を進めている(2015年5月20日:本学プレスリリース参照)ものです。世界初のヒトiPS細胞での再生医療の臨床応用が本邦で行われ、安全性の点で腫瘍化が懸念される問題としてクローズアップされていますが、Surv.m-CRAは再生医療の臨床応用での問題克服にも早急に対応できる可能性も持つため、今回の成果は再生医療の分野において臨床的にも高い価値を持つものです。

 

 当研究室では「革新的ながんへのウイルス医薬(遺伝子治療)」等のバイオ研究とその実用化への取り組みと併せて、「多能性幹細胞での再生医療での腫瘍化を直接阻止する完全オリジナル技術の開発」の研究に一貫して取り組んできました(別紙1の図を参照)。本技術(腫瘍化原因細胞(未分化細胞)の中だけで増殖し、その細胞だけを特異的に殺傷する世界初の遺伝子組換えウイルス(m-CRA)技術)、もう一つの新技術(別のウイルスベクター技術:腫瘍化原因細胞を特異的に同定(可視化)・殺傷するレンチウイルスベクター(Tumorigenic Cell-targeting Lentiviral Vectors: TC-LVs))、そしてSurv.m-CRAのがん治療薬としての開発の状況について、7月24〜26日に大阪国際会議場で開催されます、第21回日本遺伝子治療学会学術集会(http://www.conet-cap.jp/jsgt2015/)にて、以下の3演題として発表いたします。

 

 

  1. 腫瘍化原因細胞を特異的に殺傷するm-CRA)技術(今回の主発表の技術、後述の研究内容③):演題名; ”Conditionally replicating adenovirus kills tumorigenic pluripotent stem cells”  三井薫 他、2015日7月25日(土)9:00-9:50. Oral Session I (OR-16). 大阪国際会議場 12F 第2会場(1202会議室)
  2. 腫瘍化細胞を特異的に同定(可視化)・殺傷するレンチウイルスベクター(Tumorigenic Cell-targeting Lentiviral Vectors: TC-LVs)(後述の研究内容②):演題名; ”An efficient construction of lentiviral vectors that identify and eliminate tumorigenic cells in pluripotent stem cells”  井手佳菜子 他、2015年7月25日(土)17:20-18:20. Poster Session II-1 (PO-73). 大阪国際会議場 12F ポスター会場 (特別会議場前)
  3. Surv.m-CRAのがん遺伝子治療:演題名; ” Development of the original survivin-responsive conditionally replicating adenovirus toward the investigator-initiated GCP clinical trial” 小戝健一郎、7月24日(金)13:00-14:30 シンポジウム1「悪性腫瘍に対するウイルス療法の臨床展開に向けて」. 大阪国際会議場 Hall 1

 

*  本技術(腫瘍化原因細胞(未分化細胞)の中だけで増殖し、その細胞だけを特異的に殺傷する世界初の遺伝子組換えウイルス(m-CRA)技術)の論文は、米国遺伝子細胞治療学会(American Society of Gene and Cell Therapy)の学会誌の一つであるMol Ther Methods Clin Devに掲載されました。

 

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