平成18年7月に鹿児島大学に教授として赴任して、早いもので15年になろうとしています。
私はいろいろな施設を経てますので、履歴が多少変わって見えるのではないかと思っております。
小児科医としてスタートした後に、大学院時代から次第に基礎研究への興味が増し、先端医学の開発を直接目指す基礎研究を生業とするに至りました。
これまで様々な基礎・臨床の施設を経て、助手時代より研究においては独立して実質のボスを持たない環境でやってきました。
確固として守ってくれる組織や既存システムの恩恵を受けずにやっていくというのは厳しいこともある分、幅広い研究背景と独自の技術、そして困難に立ち向かう精神力は、多少確立できたように思えます。
何より、真面目にやっていれば利害なく助力して下さるような素晴らしい方々に出会うことができたことが最大の喜びで、そのような諸先生の御助力により現在の自分があると感謝しております。
私自身も、そのような公平な目で真面目に取り組む若い人には最大限の助力をし、社会に貢献できる真の研究者と医療人の育成に力を注ぎたいと思っております。
私の研究室は遺伝子治療学、再生医学、がん研究に取り組んでおり、その研究手法も生命科学としての分子生物学が主体ではありますが、形態学は教育者、研究者としての私の基盤であります。
このようなこれまでの先端医学の基礎研究を中心に取り組んでいく一方で、細胞生物学、発生学、再生医学などの新しい研究手法も取り入れることで、新しい解剖学も切り開いていけたらと思っております。
研究においては、私の能力と研究室の規模を遥かに超える多種な領域に足を踏み入れてしまっておりますが、小粒でも輝くオリジナリティーの高い研究を今後も心がけていきたいと思っております。
また自身が開発した技術の臨床応用、そして実用化(医薬承認)の実現にも努力してまいりました。幸い高い外部評価を頂き、国の大型プロジェクトに毎年複数連続して18年以上も研究代表者(研究班長)として採択され、研究を進めてきました。私の研究室で完全オリジナル技術として開発したがんへの遺伝子ウイルス治療薬は、鹿児島大学や学外の諸先生のご協力とご支援も頂き、First-in-human(患者さんに世界初投与)医師主導治験を本学にて完了し、現在はさらに医薬承認を視野にいれた次相治験をAMED事業等で進めているところです。
少しでも社会の役に立てるよう研究、教育に努力していきたいと思っておりますので、皆様にはどうか御支援と御指導を賜りますよう、何卒よろしくお願い申し上げます。
令和3年 5月