目的・業務内容
設置の目的と業務
平成20年に医歯学総合研究科の「医歯学教育開発センター規則」が定められました。
センターは、医学、歯学及び保健学教育の企画・運営並びに研究・開発を行い、教育の円滑な実施と教育方法等の改善に取り組むことを目的として設置され、その業務として
(1)医学、歯学及び保健学の教育に係る企画・運営に関すること。
(2)医学、歯学及び保健学に係るファカルティ・ディベロップメント活動に関すること。
(3)医学、歯学及び保健学に係る教育開発研究に関すること。
があげられています。
平成20年10月に専任教授として田川まさみが赴任し、センターとしての業務を開始しました。前身である医学教育計画室が医学科(医歯学総合研究科)の専任教員による卒前教育を担う組織であったことからそれらの業務を引き継ぎ、平成21年度からは保健学教育の授業評価など教育業務も担当しております。平成22年度より田口則宏教授(歯科教育実践学)がセンター兼務教員となり、歯学教育を担当することになりました。センター教員は教育専門家として教務委員会、FD委員会等と協力し、業務を行っております。
教育の企画・運営
医学科の卒前教育では新カリキュラムのとりまとめを行いました。現在では新入生オリエンテーション、横断的科目の企画・運営(「患者と医療」「チーム医療」「基礎臨床統合カリキュラム(チュートリアルを含む)」)、共用試験の運営、6年生OSCEの企画・運営、最終試験を担当しています。また、平成22年には医学部の取組「地域医療を担うプロフェッショナリズム教育」を大学教育推進事業として提案し、運営を担当しております。
本学医学部ならびに研究科教員を対象としたFD講演会、講習会を企画、運営し、また講師として指導にあたっています。また、教育スタッフである模擬患者養成も行っています。
教育開発研究
センター教員は学内外の医学教育関連学会での発表、論文発表を行っています。センターでは学生、教員の個人データを扱う教育研究は「疫学等倫理委員会」での承認を得て実施することとし、教育研究のルールづくりも進めているところです。
平成21年より大学院博士課程(医歯学教育学講座)での大学院教育を開始し、広く博士課程学生に医学教育の入門科目を開講するとともに、医学教育を専門とする教育学研究者の育成も行っています。
研究実績(2009~2022):論文
- 横尾 英孝, 伊藤 彰一, 朝比奈 真由美, 生坂 政臣:コーチングによる臨床実習学習効果向上の試み 主体的な行動変容で臨床能力を養成する,2017
- 横尾 英孝, 伊藤 彰一, 横手 幸太郎:各科臨床のトピックス 医学教育におけるコーチングの可能性,2019
- 横尾 英孝, 鋪野 紀好, 杉山 淳比古, 笠井 大, 若林 華恵, 塚本 知子, 神田 真人, 大西 俊一郎, 松本 暢平, 朝比奈 真弓, 伊藤 彰一:臨床実習中の学習者に自発的行動を促す新しい対面指導法の開発に関する研究(第1報),2020
- 熊谷 仁, 横尾 英孝, 朝比奈 真由美, 横手 幸太郎, 伊藤 彰一:クリニカル・クラークシップにおける選択実習期間中のPeer teachingの効果,2020
- 横尾英孝, 小野寺みさき, 高橋在也, 木村康彦, 稲川知子, 朝比奈真由美, 伊藤彰一:臨床実習中止期間中のメディア演習推進のためのFaculty Development -ICT支援, カリキュラム例示, 個別相談-,2020
- Hidetaka Yokoh, Shoichi Ito:Effective reflection through near-peer education.,2020
- Hajime Kasai, Kiyoshi Shikino, Go Saito, Tomoko Tsukamoto, Yukiko Takahashi, Ayaka Kuriyama, Kazuhisa Tanaka, Misaki Onodera, Hidetaka Yokoh, Koichiro Tatusmi, Ichiro Yoshino, Masatomi Ikusaka, Seiichiro Sakao, Shoichi Ito:Alternative approaches for clinical clerkship during the COVID-19 pandemic: online simulated clinical practice for inpatients and outpatients?A mixed method,2021
- 横尾英孝, 熊谷仁, 伊藤彰一, 横手幸太郎:実践報告-新たな試み- 臨床実習中の医学部学生に対するインスリン経験学習の導入,2022
- 田川まさみ: イリノイ大学シカゴ校医療者教育学修士課程:リーダーシッププログラム.医学教育 40:247-50, 2009
- Tagawa, M. and Imanaka, H.: Reflection and self-directed and group learning improve OSCE scores. Clinical Teacher 7:266-270, 2010
- 藤崎和彦、田川まさみ、西城卓也、井内康輝、錦織宏、渡邊洋子、大谷尚、守屋利佳、吉岡俊正、吉田素文、鈴木康之: 日本医学教育学会認定医学教育専門家資格制度創設への提言.医学教育 43:221-31, 2012
- 元日田和規、田川まさみ、池田賢一、福祉政広、亀岡淳一:診療放射技師養成課程における超音波検査に関する教育の特徴:臨床検査技師養成課程との相違 日本放射線技術学会雑誌 68:979-85, 2012
研究実績(2009~2022):学会発表
- 横尾英孝, 大西俊一郎, 宮負哲, 山本友香, 佐久間幸枝, 宮原孝子:コーチングによる糖尿病チーム医療活性化の試み(第1報),2015
- 横尾英孝, 伊藤彰一, 生坂正臣:コーチングによる臨床実習学習効果向上の試み -主体的な行動 変容で臨床能力を養成する-,2017
- Hidetaka Yokoh, Shoichi Ito, Shunichiro Onishi, Mayumi Asahina:Improvement of medical professionals’ engagement in team-based medical practice and physicians’ performance by using coaching,2017
- 横尾英孝, 鋪野紀好, 杉山淳比古, 笠井大, 若林華恵, 塚本知子, 神田真人, 大西俊一郎, 松本暢平, 朝比奈真由美, 伊藤彰一:臨床実習中の学習者に自発的行動を促す新しい対面指導法の開発に関する研究(第1報),2020
- 鋪野紀好, 松本暢平, 横尾英孝:ワークショップ「IPE/IPWのリーダーをつくる」,2020
- 横尾英孝:教育講座4. 実臨床に1歩踏み込んだコーチングの実践を目指して,2020
- Tagawa, M., Imanaka, H., Nomura, Y., Yoshida, A., Saruwatari, H., Fujita, H., Uchino, E., Matsushita, T., Nakamura, M., Ichiba, M., and Sano, A. Implementation of reflection process and self and group learning improve OSCE scores. 第41回日本医学教育学会大会 International Session. 大阪, 2009 (Award for Academic Excellence授賞)
- Tagawa, M. and Imanaka, H. Reflection on clinical skills training and learning outcomes. AMEE Conference, Malaga, Spain, 2009
- Tagawa, M., Matsushita, T., Sakiyama, T., Higashimoto, I., Nerome, Y., Yonekura, K., Muranaga, F., Ikeda, K., Akasaki, J. The long SP-encountered station of OSCE measures a broad range of clinical competence. 第42回日本医学教育学会大会 International Session. 東京, 2010
- 池田賢一、田川まさみ、松下毅彦、嵜山敏男、東元一晃、村永文学、米倉健太郎、赤崎純子 臨床能力評価としての卒業時OSCEの提案. 第42回日本医学教育学会大会 東京, 2010Tagawa, M. Japanese medical license examination assesses broad but lower-order thinking. 14th Ottawa Conference, Miami, USA, 2010
- Tagawa, M. and Ikeda, K. Quality of reflection on learning determines learning outcomes. AMEE Conference, Glasgow, GB, 2010
- 元日田和規、田川まさみ、池田賢一、福士政広、亀岡淳一 異なる教育機関における核磁気共鳴画像(MRI)検査に関する教育の相違 第38回日本放射線技術学会秋季学術大会 仙台、2010
- 池田賢一、田川まさみ、松下毅彦、森内昭博、東元一晃、根路銘安仁、猿渡浩 コンピテンスを評価する卒業時OSCEの設計. 第43回日本医学教育学会大会 広島, 2011
- 元日田和規、田川まさみ、池田賢一、福士政広、亀岡淳一 診療放射線技師・臨床検査技師養成課程の患者ケア・チーム医療に関する授業時間の相違. 第43回日本医学教育学会大会 広島, 2011
- 大中原研一、只野恭教、新村卓也、山田洸夢、中村葉子、小森千世佳、力武隼平、桑畑健太郎、池田賢一、松本英彦、山口幸一、古田利久、田川まさみ 地域医療機関における見学型実習「シャドウイング」パイロット実習での学習成果. 第43回日本医学教育学会大会 広島, 2011
- 田川まさみ コンピテンス基盤型学習によるカリキュラムの構築と学生評価. シンポジウムII 今、なぜアウトカム基盤型医学教育? 第43回日本医学教育学会大会 広島, 2011
- 田川まさみ 修士課程プログラムで育成する医学教育者. シンポジウムVI 医学教育専門家認定制度を考える 第43回日本医学教育学会大会 広島, 2011
- Tagawa, M., Ikeda, K., Ganjitsuda, K. What do faculty and simulated patients (SP) evaluate? Analysis of global rating (GR) and domain scores of OSCE. AMEE Conference, Vienna, Austria, 2011
- 田川まさみ 医学教育モデル・コア・カリキュラムにおける基礎医学と臨床医学の関連づけ. シンポジウム22 臨床に活かす基礎医学―他職種との対話を通じた考察― 第21回日本医療薬学会年会 神戸, 2011
- 元日田和規、田川まさみ、池田賢一、福士政広、亀岡淳一 診療放射線技師・臨床検査技師養成課程における超音波(US)検査に関する教育の比較.第39回日本放射線技術学会秋季学術大会 神戸,2011
- 田川まさみ 理論と応用を学ぶコースワーク. シンポジウムW 認定医学教育専門家の位置づけと求められる役割 第44回日本医学教育学会大会 神奈川, 2012
- 元日田和規、田川まさみ、池田賢一 客観的臨床能力試験(OSCE)における教員と模擬患者によるコミュニケーション・対人関係評価の特性. 第44回日本医学教育学会大会 神奈川, 2012
- 三角香奈、田川まさみ 学生の視点似寄る医学教育モデル・コア・カリキュラムと英国のTommorrow’s Doctorsのコンピテンスの違い. 第44回日本医学教育学会大会 神奈川, 2012
- Tagawa, M., Ganjitsuda, K., Ikeda, K. Discrepancy between faculty and simulated patient scores for communication and interpersonal skills. AMEE Conference, Lyon, France, 2012
研究実績(2015~2022):MISC
- 横尾 英孝, 大西 俊一郎, 宮負 哲:チーム医療とコーチング コーチングによる糖尿病チーム医療活性化の試み (特集 医療現場で生かせる! コーチングの実践),2015
- 横尾 英孝, 伊藤 彰一, 鋪野 紀好, 杉山 淳比古, 笠井 大, 若林 華恵, 塚本 知子, 神田 真人, 大西 俊一郎, 朝比奈 真由美, 生坂 政臣:コーチングによる診療参加型臨床実習中の学習者の行動変容と学習効果向上に関する研究(第1報),2018
- 伊藤 彰一, 鋪野 紀好, 横尾 英孝, 岩本 太郎, 笠井 大, 塚本 知子, 鎌田 雄, 高谷 里依子, 若林 華恵, 柄澤 智史, 高木 亜由美, 杉山 淳比古, 長谷川 誠, 神田 真人, 雑賀 厚至, 朝比奈 真由美, 生坂 政臣:Difficult Patient対応ワークショップの学習効果は個室でのグループ討議によって向上する,2019
- 熊谷 仁, 横尾 英孝, 伊藤 彰一, 朝比奈 真由美, 横手 幸太郎, 生坂 政臣:インスリン療法の実際や患者の反応を理解するための効果的な体験学習の導入,2019
- 横尾英孝:第2章クリニカルシナリオ 4ノン・アドヒアランス 服薬の遵守が困難な糖尿病患者,2021
メディア報道
- NHK クローズアップ現代 2014年12月1日 :長寿の鍵は『口』にあり〜口腔ケア最前線〜
- 病院口コミナビ2017年7月:医師のためのコーチング講座
- プロフェッショナルに聞く2017年7月:コミュニケーションで日本の医療現場を変える
研究費取得状況
科学研究費基盤研究(C)2019-2023
専門職連携のための専門職連携によるFD実践のための基盤研究とプログラム開発
科学研究費基盤研究(C)2019-2023
臨床実習中の学習者に自発的行動を促す新しい対面指導法の開発に関する研究
科学研究費基盤研究(C)2020-2024
英国大学と協働で開発するグローバル・地域包括ケアIPEプログラムの構築
科学研究費基盤研究(C)2009-2011
医学部カリキュラムと心理統計に基づく臨床実技試験の質的解析と設計
科学研究費奨励研究 2010
教育と資格試験からみた診療放射線技師・臨床検査技師重複業務における臨床能力の解析
科学研究費基盤研究(C)2012-2014
コンピテンスの修得と医学生の成長に関わる臨床実習の経験と学習の解析