大学院学生向け
博士課程で「教育学」を学ぶ意義と目的
将来医学、歯学を含む医療の領域で活躍される方は後輩や学生の教育・研修業務を担うことになります。医学教育、歯学教育等全ての医療者を養成するための教育を医療者教育Health professions educationと呼びます。それは、医学・医療という制約のある現場で、日々新たに生まれる情報・技術を取り入れながら、社会から求められる質の高い実践的能力と人間性を有した人材を養成し、その領域の特徴を理解した高度な教育計画とその実践、そして学習成果の保証が求められるという共通点があるからです。医療者個人の経験に基づいた教育では、十分な成果を上げられないことは明らかであり、教育の原理、医療者教育の特性、教育研究の成果と国際的動向を理解し、実際の教育に生かすことが、医療者教育のあらゆる領域で必要となっています。
当センターでは、博士課程に以下の科目を開講し、将来の医療者教育のリーダーを目指す皆さんに、それぞれのニーズに応じた「教育の能力」を修得していただくことをめざしています。
医歯学総合研究科の全ての博士課程学生向けコース
共通コア科目 医歯学教育入門 1年前期・後期
本講義では、医学歯学教育・研修において注目されているトピックを取り上げ、背景となる教育理論と医療者教育全般の理解を深め、実践的教育技法を修得します。学生は医療現場での学習、教育経験に基づく討議を行いながら学習します。全ての博士課程学生にとって、有用なコースです。
本科目は 公開授業として聴講生、履修生も受入れます。 また、 その一部をeラーニングとして履修することも可能です。希望者はセンターにお問い合わせください。
医歯学教育・医療者教育における履修および研究で、
博士(医学)、博士(歯学)取得をめざす学生向けプログラム
将来医学、医療の分野で教育プログラム作成、カリキュラム作成と評価などを行う教育の責任者をめざす方、医療者教育の幅広い知識を有しこの領域で研究を実施したいと考えている方のためのプログラムです。当センターに所属した博士課程学生となります。
1)概要と卒業要件
医歯学総合研究科の規定に従い、以下の履修科目の単位を含む30単位以上を取得し、博士論文の審査および試験に合格することにより、博士(医学)または博士(歯学)を取得することができます。
研究分野: | 【専攻】健康科学専攻 |
【大講座】社会・行動医学 | |
【研究分野】医歯学教育学 | |
履修科目: | 以下の必修科目とその他の共通科目等を履修して必要単位数を取得します。 |
共通コア科目 医歯学教育入門 1年前期・後期
専門基礎科目
医療者教育学I カリキュラム開発と評価
医療者教育学II 学習指導評価の理論と実際
医療者教育学III 教育における研究
専門科目
医歯学教育学演習
医歯学教育学実験・実習(プロジェクト研究)
科目は夕方開講しています。その一部をeラーニングとして履修することも可能ですので、希望者はセンターにお問い合わせください。
2)入学要件
受入れにあたっては、以下の要件を考慮して選考します。
1)医歯学総合研究科博士課程の入学要件を満たしている(必須)。
2)医療者(医師、歯科医師、看護師、薬剤師、理学療法士、作業療法士等)としての資格を有し、将来教育や研修指導を予定していることが望ましい。
3)社会人入学を希望する場合は、科目の履修時間以外に十分な学習・研究時間が確保できること、社会人としての勤務が医療者を指導する立場である。
4)英語の教科書、論文を読み、英語による研究のまとめができる能力を有している。
鹿児島大学医歯学総合研究科は前期、後期の学生受入れを行なっています。コース受講,プログラム入学を検討される方は、医歯学教育開発センターまでお問い合わせください。
担当 黒江< このメールアドレスは、スパムロボットから保護されています。アドレスを確認するにはJavaScriptを有効にしてください >
当センターの教育研究の特徴
国際的医学教育、医療者教育大学院教育に準じた教育・研究内容:
医療者がリーダーとなるために学ぶ教育学はコースワークを主体とした修士課程が国際的に高く評価されており、専門基礎科目はそれらに準じた内容となります。授業時間は学習の一部でしかありません。教科書、論文を読み、課題を行い、積極的な討議、プレゼンテーション、レポートの作成により、理論とエビデンスを教育現場の問題解決に応用して、教育の計画、実践、評価ができる能力の修得をめざします。あらかじめ十分な自習時間の確保をお願いします。鹿児島大学の卒前教育、卒後研修、生涯学習、あるいは医療職として現在勤務する現場での教育・研修を対象とした研究を行います。
医療者教育のリーダーに求められる博士(医学)または博士(歯学)の取得:
医療者が大学等学術研究機関のポストを得る際に博士の学位が必須となる場合は少なくありません。本課程では、従来医学・医療の実験あるいは臨床研究において取得されてきた学位を、医学教育研究において取得するものであり、同じ審査基準で博士が授与されます。科目履修で修得した教育の基礎を基盤に、医療者としての経験と実践を研究に生かす教育課程です。これまで博士の取得に興味をもたなかった方、医療者の教育に関心の高かった方が教育に関する知識・技能、研究実績と博士の称号を取得することにより、指導者として活躍する機会が広がると考えています。
海外の教育機関との連携、国際的な教育研究:
当センターの教員はこれまで海外の医学教育機関スタッフとの交流と共同研究を進めてきました。また、希望者には海外の医学教育プログラムへの留学も支援します。
センターでは毎年国際学会での研究発表を行っています。大学院生にも研究成果の発表積極的に指導します。