鹿児島大学 医歯学教育開発センター

センター長メッセージ

このたび、令和4年(2022年)4月1日付で医歯学教育開発センターの2代目センター長・教授に着任いたしました。本センターは平成20年(2008年)に新たな医歯学総合研究科の一組織として設置され、専任教員として初代田川まさみ教授が赴任し教務委員会やFD委員会などの意思決定組織と連携して医療者教育の管理・運営、研究、ファカルティ・ディベロップメントを担当し、さらには医歯学教育学講座として博士課程教育も行って参りました。

 昨今の医療者教育は激動の時代であり、特に医師の養成課程では教育の質保証を国際的な水準で行うことが求められるようになりました。そのような中、新型コロナウイルス感染症の拡大により授業や患者様と接する実習が余儀なく中止やオンラインになるなど、未曽有の事態に対応すべく方針の大転換を迫られました。さらに、少子高齢化や医療費の高騰など、著しい社会の変遷と限られた資源の中で高度かつ複雑な医療が実践できる医師を養成できるよう、臨床実習のさらなる充実も要請されております。その基盤整備のため、令和3年(2021年)には患者様に安心して臨床実習にご協力いただけるよう、医学生が臨床実習で医行為を行うことやその条件(指導医の監督下で行うこと、事前に共用試験という知識や技能、態度を評価する試験に合格することなど)が医師法の下に位置付けられました。その一方では、わが国の医療が常態化した医師のほぼ青天井の時間外長時間労働に依存してきたことが問題視され、医師の時間外労働上限規制(医師の働き方改革)も令和6年(2024年)から開始される予定です。これは医師のワークライフバランスの向上や心身の健康を守るためには必要な対策ではありますが、教育という診療や研究に並んで重要な医師の役割が十分に果たせなくなるのではないかという懸念の声も上がっております。

 このようにこれからの医療を担う優れた医療者の教育と養成には多くの課題がございますが、この難局を乗り越えるためには@限られた教育資源の有効活用、A教育者の教育能力の向上、B学習者と教育者双方の主体性とモチベーションの向上、C教育理論に基づいた効果的かつ効率的な指導法の開発と普及の4点が肝要であると考えております。そして学習者中心の理念も踏まえた上で、当センターが学内外の様々な部署、講座、医療機関の先生方と連携するハブとなり、鹿児島大学の特性や強みを最大限に活かした医歯学教育を展開していく所存です。これまでの自身の経験も活かしつつ、鹿児島の医療の発展と優れた医療人の輩出・確保のために全力で精進いたしますので、引き続き医歯学教育にご支援を賜りますようどうぞよろしくお願い申し上げます。

2022年6月
医歯学教育開発センター センター長 横尾 英孝

 

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