教授ご挨拶
就任のご挨拶
鹿児島大学大学院医歯学総合研究科 救急・集中治療医学分野のホームページをご覧頂き有難うございます。2025年10月1日付で、垣花泰之前教授の後任を務めることになりました新山修平と申します。就任にあたり、ご挨拶申し上げます。
鹿児島県は全国有数の離島県のひとつです。救急医療体制については、それぞれの地域特性を鑑みた提供体制、救急搬送体制、医療従事者確保など、多面的な対応が求められています。そのような中、我々鹿児島大学病院は県内唯一の大学病院であり、教育機関であることの責務を果たすべく、臨床・教育・研究を三位一体として邁進してまいります。
『臨床について』
医療安全と感染対策に最大限の配慮をしながら,救急・集中治療・離島医療・災害医療の「最後の砦」として、県全体を俯瞰した連携体制を構築が重要です。
- ■超高齢社会を見据えた県内中核医療機関との連携強化
- ■離島医療を含む遠隔支援(集中治療・脳死下臓器提供など)のための医療DXの整備と業務効率化
- ■多発する災害に医療支援・受援体制の構築
- ⇒平時から県・医師会・県内中核医療機関と連携し,災害DXを含めた未来志向の体制整備
- を目指します。
『教育について』
学生教育、専門医取得に加え、医学博士の取得も重視しています。
「足の裏の米粒」―取らないと気持ちが悪いが取っても食えない―と揶揄されることもありますが、今後のキャリアデザインを考えるうえで、改めてその価値を見直すべきと考えます。
- ■広域な観点が求められる診療を学部生の段階からから学べる環境づくりの構築
- →リアルワールドでの診療実習の優先、若手救急医主催の「救急郷中会」や学生支部の活動紹介・参加促進
- ■高い倫理観を備えた若手救急科医師の育成と個々のキャリアパス支援
- ■患者および家族中心の医療を実践しつつ,臨床と基礎の両面からリサーチマインドの醸成
- を目指します。
『研究について』
当研究室では、垣花前教授の時代より、東京科学大学生命科学研究室 一瀬宏教授らのグループと連携し、テトラヒドロビオプテリン(BH4)を中心とした生命現象の解明に取り組んでいます。BH4は一酸化窒素合成酵素の補因子であり, 一酸化窒素産生に不可欠な分子です。
現在は敗血症動物モデルや臨床データ解析に加え、近赤外時間分解分光法や非接触型光学モニタリング装置の開発を、全学共同研究・産学連携・国際共同研究として推進中です。
さらに、深層学習による画像認識モデルEfficientNetを用いた心肺停止蘇生後の頭部CT画像解析を、聖マリアンナ医科大学先端生体画像情報研究講座 小林泰之教授らと多施設共同研究として実施予定です。
- ■医療現場・アカデミア・企業が連携する独創的なトランスレーショナルリサーチの実践
- ■オープンサイエンス時代における「対立的協働」のアプローチによる建設的かつ透明性の高い科学の推進
- を目指します。
垣花泰之前教授の志を継承しつつ、医学部学生や医局員の一人ひとりの可能性を引き出すことを最優先に、本分野のさらなる発展と、救急医療体制が社会全体に貢献できるよう、未来的視座をもって真摯に取り組んでまいります。
救急は「医の原点」です。また、救急・集中治療科は内科系から外科系まで様々な疾病を診るため、非常に興味深い分野でもあります。救急および集中治療に興味ある方は、是非私たちと一緒に仕事をしてみませんか。一人前の救急科専門医および集中治療科専門医を育てるプログラムを準備してお待ちしています。
今後とも皆様からのご指導ご支援を賜りますよう、心よりお願い申しあげます。
教授のプロフィール
最終学歴
久留米大学大学院医学研究科
学位
医学博士
専門医
救急科専門医、集中治療科専門医、麻酔科専門医、ペインクリニック専門医
所属学会
日本救急医学会、日本集中治療医学会、日本麻酔科学会 、日本ペインクリニック医学会
専門分野
救急・集中治療、麻酔
現在の研究テーマ
敗血症、敗血症関連脳症、テトラヒドロビオプテリン

ハートフル・クリティカルケアの精神
鹿児島大学病院 救命救急センター(救急部・集中治療部)では、患者さまもご家族の方も、また働くスタッフも、大切な”ファミリー”ととらえています。
患者さまが元気になることだけを考え、私たちは部内の医師や看護師はもちろん、ICD(インフェクションコントロールドクター)やME(臨床工学技士)、薬剤師、リハビリ、栄養士の先生など、各分野のスペシャリストが連携する『チーム医療』を推進しています。
スタッフが円滑にコミュニケーションを取れる環境づくり。すべては患者さまのために、私たちはいつでも心のこもった医療に取り組みます。