「本学発のがんへのウイルス医薬の医師主導治験について」
3月22日、鹿児島大学大学院医歯学総合研究科の小戝健一郎教授(遺伝子治療・再生医学分野)を中心としたグループが、昨年度実施した一例目の治験について発表しました。
報道陣が詰めかける中、住吉文夫研究担当理事からの挨拶に続き、関係者挨拶が行われました。その後、発表内容について小戝教授からの詳細な研究内容説明に続き、同席した治験責任医師の小宮節郎教授(整形外科学)より一例目の治験の治療効果についての説明が行われました。
今回の治験薬は本学(アカデミア)発のオリジナルの医薬で、世界で初めて患者さんに投与するFirst-in-humanの治験であり、高い先駆性を持つものです。また本医薬品は医薬品医療機器等法の「再生医療等製品」に該当するため、条件付きの早期承認・実用化も期待できます。本分野の技術は欧米では次世代の革新的ながん治療薬として非常に期待されているものの、本邦では開発・実用化が遅れていますので、本プロジェクトの成果は本邦の国民福祉の向上と科学の発展に貢献するものとして、高い意義を持つものです。さらに国際特許で裏付けられた本技術・医薬が、本邦のみならずグローバルな実用化ができれば、「日本発の革新的な医薬品の創出」という本邦の重要政策の「日本再興戦略」へも大きく貢献するものです。さらに小戝研究室では、転移癌の制圧まで目指した新たな遺伝子・ウイルス治療薬の研究開発を進めておりますが、今回の治験で臨床開発・実用化の基盤ができることで、将来のこれらの研究成果も迅速に実用化へと進むことも期待できます。このように今回のプロジェクトは、独自の研究成果を実用化に繋げるために自らが治験を行うという高い学術的価値を持ち、またその成果ががん克服の第一歩、そして本邦から世界に発信する革新的医薬の実用化の可能性が期待できる点でも、高い社会的価値を持つものと思われます。
大学院医歯学総合研究科の小戝健一郎教授らのグループは、従来技術を凌ぐ「多因子制御の癌特異的増殖型アデノウイルス」(m-CRA)の作製技術を独自開発し、サバイビン反応性m-CRA(Surv.m-CRA)などの、先駆的ながん「ウイルス医薬」の研究を進めてきました。その研究の革新性と、治験のための前臨床研究の成果を認められ、小戝健一郎教授を開発代表者としたSurv.m-CRAの臨床開発プロジェクトは、国立研究開発法人・日本医療研究開発機構(AMED)の二つの大型研究事業(「橋渡し研究加速ネットワークプログラム(シーズC)」ならびに「革新的がん医療実用化研究事業」)に平成28年度に採択されています。
今回の医師主導治験は、小戝健一郎教授(開発代表者)、小宮節郎教授(治験責任医師)、永野聡准教授(治験分担医師)、武田泰生教授(治験管理部門長)、二川俊隆薬剤師(治験薬管理主任)、伊地知暢広助教(安全性管理)、橋口照人教授(検査部長)、山口宗一准教授(臨床検査)を中心とした、本学の大学院医歯学総合研究科と大学病院のチームが主体となり、共同研究機関の京都大学医学部附属病院臨床研究総合センター(清水章教授、角栄里子助教、高谷宗男教授など)の支援も受けて実施しているものですが、鹿児島大学病院の単独施設で実施しているものです。
この発表内容に関しては、各地元テレビ局(MBC、KYT、KKB)のニュース及び新聞記事にて報道されました。
《掲載いただいた新聞》
・南日本新聞
《報道いただいたネットニュース》
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