研修医の皆様は業務に追われる毎日を過ごされていると思います。
そうした中で将来どのようなコースに進むべきか、どの科が自分に最適なのかと思い悩んでいることでしょう。
この問題については人それぞれの決め方があって正解はありません。
一つの決め方として、「自分の興味の持てそうな科を選ぶ」という方法があります。
でも案外これは難しいことです。
自分の学生時代を振り返って、泌尿器科の病気に興味があって(例えば自分は腎臓を究めたいから)入局したかと言われるとそうでもなく、もっと大雑把な決め方で入ったように思います。
例えば、自分は内科系か外科系かどちら向きの人間か、親しい先輩はそこにいるか否か、よく指導してくれる先生がいるか否かなどで決めていたように思います。
つまり、科の雰囲気や指導者なども科を選択する大きな要素ではないかと思います。
泌尿器科は皆様も実習で体験し感じられたと思いますが、マイナーの科という位置づけではありますが、守備範囲の非常に広い科です。
腎や膀胱、前立腺の悪性腫瘍、腎不全に対する腎移植や透析、副甲状腺や副腎などの内分泌外科、尿路感染症、小児泌尿器科、臓器脱や尿失禁などの婦人科的泌尿器科、神経因性膀胱などの神経疾患、尿路結石、男性不妊症やEDなどたくさんの疾患をカバーしています。 また、これらを治療する場合には近年話題になっているダビンチをはじめとしたロボット手術が最も進歩している科です。
泌尿器科のもう一つの特徴は、外科でありながら内科の領域も多く含んでいるということです。
実際に、血液透析や腎臓内科の領域の診療をしている泌尿器科医も多くいます。
つまり、自分は外科系は無理だと思っていても内科的に治療できる領域がかなり多いということです。
高齢化社会を迎え、悪性腫瘍、腎臓病、排尿障害を有する患者は非常に増加していますが、それらを専門的に治療する泌尿器科医の数は少ない(全国に8000名)状況です。
また、泌尿器科を訪れる患者さんの3,4名にひとりは女性の患者さんですので女医さんの活躍の場も多くあります。
当科では女医さんが働きやすいような環境の整備も行っていますので、積極的にご相談いただきたいと思います。
医師である限り、研究も大切な仕事です。これまで多くの方が大学院に進学し研究を行い、それを学位論文にまとめ海外や国内の著名な大学や病院へ留学しています。
当科ではこのように研究にも力を入れて、毎年アメリカやヨーロッパの学会で多数演題の発表を行っています。
最後に、冒頭でも述べましたが科の雰囲気は大事です。
当科では医局内のカンファレンスでは誰もが自由に意見を述べられる雰囲気がありますし、少しでも早く手術の術者として独り立ちできるように皆が教えあう雰囲気があります。
職場は楽しくなければ長続きしません。このような教室ですが、皆さまと一緒に仕事ができれば幸いです。