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若手医師(地域枠)

地域枠医師として
地域の病院の内科で勤務
リハビリテーション診療も

Q. リハビリテーション科の専門医を取得しようと思ったきっかけは?

研修中にリハビリテーション治療の効果に驚嘆

私は地域枠として鹿児島大学医学部に入学しましたが、当初はリハビリテーション科に進むことは考えていませんでした。初期研修医のときに、将来地域で接するであろう「脳卒中後」「骨折後」といった患者さんのリハビリテーション治療の時期について知っておきたいと思い、リハビリテーション科の研修を行ったのがきっかけです。
研修中、視床出血後の慢性期患者さんの失調症状がリハビリテーション治療によって劇的に改善するのを目の当たりにし、(大変失礼ながら)「リハビリって、こんなに治せるんだ!」と驚嘆しました。療法士や看護師との多職種で治療に臨み、医師自身が訓練室で指導する様子、そして嚥下造影検査や神経ブロック、ボツリヌス療法など、リハビリテーション科医の様々な技を見るにつれ、リハビリテーションの奥深さに惹かれました。最終的に、鹿児島大学リハビリテーション科への入局を決意しました。

Q. リハビリテーション科として働いた感想

リハビリテーション科医はチーム全体を強くする

入局当時、霧島リハビリテーションセンターでの勤務となりました。山の中にあって他の医療機関までも時間の掛かる場所で、10名前後在籍していた医師は、全員リハビリテーション科。専門科によらず、まずは自分で診療にあたる、という姿勢が身についたと思います。これは現在地域医療に従事する際にも、大事な心構えになりました。
リハビリテーション科としての重要な役割は、自分一人で治療していくというよりは、コメディカルスタッフを含めたチーム全体の力を120%引き出せる状況をつくった上で、患者さんの障害に向き合うことだと感じました。療法士が安心して患者さんのリハビリテーションに取り組めるよう全身管理を行い、中止基準や禁止事項などを提示する。ボツリヌス療法や神経ブロックによって脳卒中後の痙縮を緩和させた状態で、より良い動作が獲得できるよう療法士による訓練を行う。嚥下造影検査などで適切な食事形態や食事姿勢を評価したうえで、食事オーダーを変更し、食事姿勢のポジショニングや介助を指示する。ともすればコメディカルスタッフに「おまかせ」になりがちな部分ですが、これらもしっかりと評価、指示していくことでチーム全体をより強力なものにでき、患者さんへの積極的なリハビリテーション治療につながります。

Q. 地域枠医師として働く中で、リハビリテーション科での経験がどのように生きているか?

地域にこそリハビリテーションの視点を

現在、地域枠医師として地域の病院へ赴任し、主に内科として働いています。常勤医師3名体制の病院ですが、院長より「リハビリテーション診療や、リハビリテーション的な取り組みも是非やってください」と言っていただけたので、一般外来や救急車、病棟患者の対応をしながら、リハビリテーション診療にも取り組んでいます。
現在の赴任先で最もリハビリテーション科の知識が活きているのが、嚥下障害の診療です。当院は言語聴覚士が在籍しておらず、嚥下の評価、指示、訓練ができるスタッフがいませんでした。そこで、週2回、嚥下の勉強会を行い、スタッフのレベルアップを図ることにしました。また、放射線技師や看護師の協力を得て、嚥下造影検査や嚥下内視鏡検査の体制を整え、実施しています。さらに、脳卒中後の痙縮に対し、神経ブロックやボツリヌス療法なども積極的に行っています。また、外来で見かけた下垂足の患者さんに下肢装具を試してもらったところ、本人が笑顔で「歩きやすい!」と言って装具作成につながったこともあります。地域であっても、リハビリテーション科で身につけた治療を「やれることはすべてやる」気持ちで取り組んでいます。リハビリテーション科医師の在籍する医療機関は少数ですが、地域医療においてはなおさらです。地域に専門性をもたらすことも重要な役割と考えています。
一方で、リハビリテーション科を専攻した場合、急性期医療の経験が乏しくなることで地域医療を担う上で不利ではないかと考える方もいるかも知れません。確かに他科の医師の急性期医療の経験には及びませんし、すべての救急患者に一人で対応するのは困難です。しかし、基本的な初療の能力を持った上で、ある程度バックアップ体制のある赴任先を選択できればカバーできると考えます。私自身、迷う場合はすぐに院長らに相談します。院内に複数の医師が在籍している、休日夜間も含め搬送先が確保できる、などの環境が整っていれば十分対応できるのではないでしょうか。リハビリテーション科に限った話ではありませんが、可能であれば、地域医療/僻地診療を開始する前に、赴任先候補の見学をおすすめします。

私の研修プログラム

年次研修 1年目 2年目 3年目 4年目 5年目 6年目 7年目
研修病院 霧島リハビリテーションセンター 霧島リハビリテーションセンター 鹿児島大学病院 市中病院(回復期病棟) 市中病院(回復期病棟) 市中病院(地域枠実務研修) 地域医療(地域枠)
その他(他の資格取得など) 大学院入学 リハビリテーション科専門医取得