ご挨拶
ご挨拶
私が鹿児島大学小児外科に着任させていただき、もうすぐ3年が経過しようとしております。着任してからの間、当初に比べますと私自身の考えや視野もかなり変化してきました。
紹介先の病院や施設などを訪問させていただき医療圏としての鹿児島を含む南九州の状況が少しずつではありますが把握できるようになってきました。理想的には小児外科疾患をもつ患者さんが小児外科専門医の診療をすべからく受けられるようにできればいいのですが、現実的には各施設に小児外科医を配置することは不可能です。ではこの広い医療圏での小児外科医療をどのように拡充させるのか、あるいは均てん化させると言い換えてもいいかもしれませんが、それを実現するのが非常に大切であると考えています。手術となればある程度の集約化はさけられませんが、外来診療であれば初診患者さんの紹介への対応や、大学から遠方の地域患者さんのフォローアップも含めて医師をデリバリーすることで可能になると考えています。NCDが始まり小児の手術症例がどのくらい行なわれているのかもわかっています。今後は少なくとも鹿児島県内の小児外科領域の手術症例が鹿児島大学の関連施設としての症例にカウントできるように、把握できるようにしていくことが重要だと考えています。
その一方で大学病院ではやはり先進的な医療の推進も求められているのも事実です。これをこれまでの鹿児島大学小児外科のしっかりとした土台の上に肉付けすることで国内のリーディング施設のひとつにしたいと思っています。一見矛盾するように思えますが、先進的な医療の推進と地に足が着いた形での地域医療のへの貢献の両立を理想にかかげることで、小児外科医の育成が可能となり、その先にいる患者さんへ良質な医療を届けられると信じています。
鹿児島大学大学院医歯学総合研究科健康科学専攻発生発達成育学講座小児外科学
教授 家入里志