神経グループ

南九州や沖縄地域でみられる様々な神経疾患の原因解明と治療法開発の研究をしています。
地域の病気を研究することにより、その成果を世界中の同じ患者の福音になるように発信しています。

ニューロパチー・運動ニューロン病

遺伝性ニューロパチー・Crow-Fukase症候群・糖尿病性ニューロパチーなどの病態解明と新規治療法の開発に取り組んでいます。 厚生労働省 障害者対策事業神経筋疾患「ニューロパチーの病態に関する研究」 主任研究者として研究を行っています。

研究内容
  • Charcot-Marie-Tooth病の網羅的遺伝子診断と臨床的解析(103の既知の遺伝子についての診断を行い、新しい原因遺伝子の発見のためにも努力しています)
  • 沖縄型神経原性筋萎縮症(Hereditary Motor and Sensory neuropathy, proximal dominant involvement)の原因究明の研究
  • 神経病理学的解析 光学顕微鏡・電子顕微鏡・免疫染色による病理学的な病態解析
  • 未知の遺伝性ニューロパチーの原因究明の研究
  • ALSなど難病の在宅療養に関する研究
  • KASの治療に関する研究
  • 運動ニューロン病の遺伝子学的研究
  • Crow-Fukase症候群-の病態との関連
  • 糖尿病性ニューロパチー発生機序の研究

 

HAM(HTLV-Ⅰ associated myelopathy)

南九州地域は世界でも最もHTLV-1感染者が存在する地域の一つで日本では最も多くのHAM患者が存在します。現在でも鹿児島県は60歳以上の2割前後、70歳以上の3割前後がHTLV-1に感染しています(2014年鹿児島県人口動態表に基づく)。このような背景もあり、HAMは世界に先駆け1980年台に鹿児島大学第3内科(当科の前身)の井形・納教授により発見され、世界に発信された疾患です。鹿児島大学神経内科は発見当初よりHAM研究において世界をリードし、多数の研究論文を発表してきました。HAM患者は現在も新規発症者が大勢おり、鹿児島大学神経内科は鹿児島大学難治ウイルス病態制御研究センターの久保田教授(当科出身)の研究グループと密接に連携を保ちながら、診断・治療、治験、臨床研究、基礎研究を強力に推進しています。

研究内容

HAMの免疫学的およびウイルス学的重要因子の同定および新規治療法の開発に関する研究

HTLV-1関連脊髄症(HAM)の有効性評価指標に関する前向き多施設共同臨床研究

HTLV-1関連疾患の病態解明と治療法・予防法の開発に関する研究

KW-0761第Ⅲ相臨床試験(ヒトT細胞白血病ウイルス関連脊髄症患者を対象としたプラセボ対照ランダム化二重盲検比較及び非盲検投与試験)

経口プロスルチアミンによるHTLV-I関連脊髄症(HAM)に対する新規治療法開発に向けた臨床試験

HAMならびにHTLV-1陽性難治性疾患に関する国際的な総意形成を踏まえた診療ガイドラインの作成

 小脳失調症 脊髄小脳変性症

厚生労働省の研究班に所属し、地域の脊髄小脳変性症を中心に遺伝子診断、原因究明や病態解明の研究を行っています。

研究内容
  • 16qーADCA(SCA31)の遺伝的原因解析の研究
  • 優性遺伝性および劣性遺伝性の脊髄小脳変性症の遺伝子診断と臨床像
  • 地域に多いSCAの研究 (SCA8, SCA31, SCA3,  GSS その他)
  • 多系統萎縮症の原因究明の研究
  • 一本鎖DNA修復機構の障害による劣性遺伝性小脳失調症の発症メカニズムの研究
  • 新しいタイプの新規の小脳失調症の疾患概念の確立と遺伝子マッピング

 

筋疾患・ミオパチー

大学を中心に出張・協力病院で臨床的側面から研究をしています。さらに当科の他の研究グループ、学内・学外の共同研究グループとも連携して研究を推進しています。国外では中国河北医科大学、フィリピンのUST Hospitalなどと共同研究をしています。
また、筋生検の病理診断に関しては従来の組織化学的染色とともに免疫染色やWestern blottingを行っています。現在までの筋生検の解析数は4000検体を超え、ルーチンで少なくとも12種類の染色を行っています。
研究は進行性筋ジストロフィー、肢帯型筋ジストロフィー、Ullrich CMDなどを中心に行っており、現在、以下のような研究が進行中です。

研究内容
  • Collagen VI遺伝子異常症の病態と治療に関する研究
  • 先天性ミオトニア症候群の臨床的、遺伝子学的研究
  • ミトコンドリア病の病態および治療に関する研究
  • Rigid spine 症候群の病理学的および遺伝子学的検討
  • 遠位型ミオパチーの研究
  • 皮膚筋炎・多発筋炎の病態および治療に関する研究
  • HTLV-I関連筋障害の研究
  • 筋緊張性ジストロフィーの高次機能の研究

 

大脳疾患・認知症

認知症は、実際に知られているよりも多くの原因で起こり、免疫性の機序、感染性の機序、代謝性の機序で起こるものは治療できることもまれではありません。私たちの病棟では、地域に根ざした疾患の経験に基づき、正確な診断と治療を行っております。

研究内容
  • 新しいミトコンドリア脳症
  • 自己免疫性の脳炎、辺縁系脳炎、橋本脳症、膠原病性の脳症の病態解明および治療に関する研究
  • PAS染色陽性の新規の治療可能な感染症による認知症
  • アルツハイマー病、びまん性レヴィー小体病、正常圧水頭症
  • 遺伝子異常による認知症 プリオン病 CADASIL, 白質ジストロフィーなど
  • アミロイドPETによるアルツハイマー病の早期診断
  • 神経サルコイドーシスの治療に関する研究

  

神経感染症の研究

脳炎や髄膜炎の原因はさまざまであり、とくに感染症と免疫疾患の区別に困ることがあります。私たちの研究室では、ショットガンメタゲノム解析を用いて、生検脳サンプルを対象に網羅的な感染症診断を行なっています。ほかにもウイルス感染症の宿主遺伝子解析も研究しています。

研究内容
  • ショットガンメタゲノム解析
  • <依頼方法>凍結脳標本、パラフィン脳切片に限り受け付けております。
  • 下記アドレスにご相談ください。担当:崎山佑介(さきやま ゆうすけ)
  • sacky(アットマーク)m3.kufm.kagoshima-u.ac.jp

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