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このたび、鹿児島大学大学院 医歯学総合研究科 脳神経内科・老年病学(矢野直志 医師、安藤匡宏 講師、樋口雄次郎 准教授、髙嶋博 教授ら)の研究グループは、治療を受けている成人脊髄性筋萎縮症(Spinal Muscular Atrophy: SMA)患者を長期間追跡し、運動機能の変化と、それを反映する臨床バイオマーカーとの関連を明らかにしました。本研究成果は国際学術誌「Frontiers in Neurology」に掲載されました。 

 SMAはSMN1遺伝子の異常によって運動神経が障害される希少な神経筋疾患です。近年、ヌシネルセンやリスジプラムなどの疾患修飾薬の登場により治療成績は大きく改善しましたが、成人患者では長期的な治療効果や、診療現場で簡便に利用できる評価指標について十分な知見が得られていませんでした。 

 本研究では、2018年から2025年までに鹿児島大学病院で治療を受けた成人SMA患者23名を最長81か月間追跡し、上肢機能や全身運動機能に加え、血液検査、呼吸機能検査、電気生理検査を継続的に評価しました。その結果、治療開始後には多くの患者で運動機能の改善または維持が認められる一方、長期的には改善効果が頭打ちとなる症例もみられました。 

 さらに、肺活量(%VC)、血清CK(クレアチンキナーゼ)、血清クレアチニン、尺骨神経CMAP(複合筋活動電位)といった日常診療で測定可能な検査項目が、運動機能と良好な関連を示すことを明らかにしました。特に肺活量(%VC)は、経時的な運動機能を独立して反映する指標であることが示されました。一方で、これらの指標のみから短期的な治療効果を予測することは難しいことも明らかとなりました。 

 また、SMN2コピー数やハイブリッドSMN遺伝子の有無といった遺伝学的背景が、発症年齢や重症度と関連することも確認されました。 

 本研究により、成人SMAにおいて日常診療で容易に取得できる検査項目が病状評価に有用であることが示されました。今後、これらの知見は成人SMA患者の長期フォローアップや治療効果判定の質の向上に役立つとともに、新たな予後予測マーカーや治療戦略の開発につながることが期待されます。 

 

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