お知らせ

ミトコンドリア融合に関与するMFN2遺伝子は,Charcot–Marie–Tooth病2A型(CMT2A)の主要な原因遺伝子であり,その機能障害はミトコンドリア動態異常を介して神経障害を引き起こすことが知られています.しかし,現時点で有効な薬物治療は確立されていません.

本研究では,ショウジョウバエにおけるMFN2ホモログ(Marf)を神経特異的にノックダウンしたモデルを用い,L-アルギニン投与の効果を検討しました. 

その結果,アルギニン投与により,通常条件下において運動機能(climbing ability)の有意な改善が認められ,さらに寿命の延長効果も確認されました.特に高用量(10 mg/mL)では,発達過程における致死性(蛹化率・羽化率)の改善も認められました. 

一方,ミトコンドリア複合体I阻害剤であるロテノンによるストレス条件下では,高用量アルギニンにより生存率の改善が認められたものの,運動機能の回復は限定的であり,生存と運動機能の乖離が示唆されました. 

これらの結果は,アルギニンがミトコンドリア機能,特に複合体I関連ストレスへの耐性を介して神経保護作用を発揮する可能性を示すものです.

本研究は,MFN2関連ニューロパチーに対する治療戦略としてアルギニンの有用性を示した基礎的研究であり,今後の脊椎動物モデルおよび臨床応用への展開が期待されます.

 

本成果は,Neurotherapeutics誌に掲載されました(Open Access).

Masahiro Ando, et al.
Arginine ameliorates motor and survival deficits in MFN2-deficient Drosophila models
Neurotherapeutics, 2026
https://doi.org/10.1016/j.neurot.2026.e00900

このページのTOPへ