ミトコンドリア融合に関与するMFN2遺伝子変異に起因するCharcot–Marie–Tooth病(CMT)について,日本全国の遺伝性ニューロパチーコホート(3,329例)から176症例を抽出し,その臨床像・電気生理所見・遺伝学的特徴を包括的に解析しました.
遺伝学的解析の結果,変異はGTPaseドメインに集中しており,機能的に重要な領域での変異の蓄積が示唆されました.さらに,トランスメンブレンドメイン2 (TM2) に変異をもつ症例では,発症年齢が有意に高いことが判明し,ドメインごとの変異部位と臨床表現型との関連性が浮き彫りとなりました.
本研究では,新規変異を含む76種の病的バリアントを同定し,その約半数がde novo変異であり,特に小児重症例に多く見られました.
本研究は,MFN2関連CMTの表現型の多様性と遺伝的背景の全体像を明らかにした世界最大規模の解析報告であり,診断・遺伝カウンセリング・予後予測において重要な知見を提供するものです.
本成果は,Annals of Clinical and Translational Neurologyに掲載されました(Open Access).
Masahiro Ando, et al.
Nationwide Characterization of MFN2-Related CMT in 176 Japanese Patients: Clinical and Genetic Insights
DOI: 10.1002/acn3.70218