INF2遺伝子変異によるCharcot–Marie–Tooth病(CMT)と腎疾患の合併例について、日本の末梢神経障害コホートを対象に臨床・電気生理・遺伝学的特徴を報告しました。
INF2はアクチン細胞骨格を調節するフォルミンをコードし、その変異は巣状分節性糸球体硬化症(FSGS)とCMTの双方を引き起こします。INF2関連CMTは稀で、小児発症の脱髄性ニューロパチーとして現れ、CMTの典型像(遠位優位の筋萎縮・筋力低下、感覚障害、腱反射低下/消失、足変形)を示します。
本研究では、全国の遺伝性末梢神経障害コホート(3,329例)からINF2病的変異を有する8例を同定しました。全例が腎障害を発症し、7/8例が10歳代で末期腎不全に進行しました。
早期に遺伝学的診断を行うことは、腎機能障害のマネジメント(蛋白尿・腎機能の継続的モニタリング、移植の計画など)にも重要であり、不要な治療介入の回避や長期転帰の改善に寄与し得ます。小児発症の脱髄性ニューロパチーに蛋白尿が合併する場合、INF2遺伝子検査が推奨されます。
本研究成果はAnnals of Clinical and Translational Neurologyに掲載されました。
Chikashi Yano, et al.
INF2-Related Charcot–Marie–Tooth Disease in a Japanese Cohort: Genetic and Clinical Insights