HTLV-1関連脊髄症は、痙性対麻痺を特徴とする脊髄疾患です。膀胱直腸障害や感覚症状を呈することも知られています。小脳失調などの脊髄症状以外の症状を合併することもあります。HTLV-1キャリアでも、HAM以外の神経症状を呈する方がいることから、HTLV-1がHAM以外の神経症状に関与する可能性について、以前からいくつかの報告がありましたが、いまだにその関係性について、詳細な解析はありません。
今回、Parkinsonismを合併する症例を経験したことから、当科に2000年~2022年に入院した246名を対象に退院時要約を後方視的に調査し、Parkinsonismの合併について検討しました。
結果、246名中11名(4.5%)にParkinsonismの合併を認め、うち10例はParkinson病やParkinson関連疾患と診断されていました。Parkinsonismを合併した症例は、その他の例と比較して高齢かつ運動症状が重い傾向にありました。
今回の検討で、比較的高いParkinsonismの合併率を認めましたが、関連性については、単施設の検討であり、今後症例蓄積してのさらなる検討が必要になります。しかし、Parkinsonismを合併した症例を報告したことで、今後さらにHTLV-1に関連した、HAM以外の神経症状についても、検討されることが期待されます。
詳細については、以下をご参照ください
- DOI: 10.1002/acn3.70121