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家族性脳石灰化症(PFBC)は、脳内石灰化をきたす遺伝性神経疾患で、以前はファール病として知られていました。

今回、当研究室の穂原医師らは、PFBCの4家族の6名の患者から、原因遺伝子であるMYORG遺伝子に新規の2つのホモ接合性変異(c.488G > T (p.W163L) と c.2135G > A (p.W712*))を発見しました。

また、愛知医科大学加齢医科学研究所の吉田眞理先生にご協力いただき、世界で初めてMYORG遺伝子変異を有する患者の剖検を実施し、詳細な病理解析を行ないました。その結果、MYORG-PFBC患者では大脳皮質・海馬以外に広範な石灰化と神経細胞の喪失を認めました。さらに脳内石灰化の強い部位ではアストロサイトの形態変化とAQP4染色性の低下が見られた一方、石灰化の見られない部位ではアストロサイトの形態と染色性は保たれていました。

MYORGはアストロサイトに高発現しており、血液脳関門(BBB)の主要な構成因子です。これまで、BBBの障害はミネラルの流出とそれに伴う脳内石灰化に関連していることがわかっていました。今回それが患者の病理所見からも明らかになり、アストロサイトと脳内石灰化の関連性がより強く示されました。さらに、今回の剖検により、これまでにPFBC患者では報告されていなかった下オリーブ核の仮性肥大も確認されました。

これらの成果は、家族性脳石灰化症の発症メカニズムの解明に向けた一歩となります。この研究内容は「Acta Neuropathologica Communications」に掲載されています。

Takahiro Hobara, et al. Genetic and pathophysiological insights from autopsied patient with primary familial brain calcification: novel MYORG variants and astrocytic implications. acta neuropathol commun 12, 136 (2024).  doi.org/10.1186/s40478-024-01847-3

PMID: 39180105

https://doi.org/10.1186/s40478-024-01847-3

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