FGF14遺伝子変異はSCA27, episodic ataxia9の原因遺伝子として知られていましたが,2023年にFGF14遺伝子のイントロンにおけるGAAリピートが小脳失調の原因となることが報告されました(SCA27B).当研究室では小脳失調症1288例中, 遺伝子診断のついていない940例にFGF14遺伝子の解析をLong range PCR, Repeat primed PCR, Long read sequencer (GridIon, adaptive sampling)を用いて行いました.
解析の結果11家系, 12症例のSCA27B症例を同定し, ①高齢発症, ②症状変動や発作性失調 (episodic symptom), ③小脳萎縮は軽度かつ進行も極めて緩徐, ④Parkinsonismを呈する症例が3割などの臨床的特徴を明らかにしました.また多系統萎縮症と類似したSCA27B症例についても報告しました.
当研究室ではLong read sequencer (GridIon)を導入後, その解析結果を報告できた初めての論文となります.今後も脊髄小脳変性症や遺伝性ニューロパチーの診断率向上を目指し,さまざまな解析をおこなっていく予定です.
Ando M, Higuchi Y, Yuan J, Yoshimura A, Kojima F, Yamanishi Y, Aso Y, Izumi K, Imada M, Maki Y, Nakagawa H, Hobara T, Noguchi Y, Takei J, Hiramatsu Y, Nozuma S, Sakiyama Y, Hashiguchi A, Matsuura E, Okamoto Y, Takashima H. Clinical variability associated with intronic FGF14 GAA repeat expansion in Japan. Ann Clin Transl Neurol. 2023