NOTCH2NLCのGGCリピート異常伸張は神経核内封入体病の原因遺伝子として同定されました.神経核内封入体病では大脳・脊髄・末梢神経・皮膚などに広く封入体が認められる難病で進行性認知機能低下をきたします.またそれ以外にもパーキンソニズム, 振戦, 小脳性運動失調, 痙攣, 末梢神経障害, ミオパチー, 自律神経系症状などさまざまな症状を呈します.
本研究グループは遺伝診断未確定の遺伝性ニューロパチー(IPN)/Charcot-Marie-Tooth病(CMT)の1783症例に対してNOTCH2NLC解析を行い, 22症例 (1.2%)/26家系にリピート異常伸張を認めました.原因遺伝子としてはPMP22の重複/欠失を除くと7番目の頻度で, 臨床的特徴としては中間型CMTを呈することが多く, 自律神経障害を高率に認めました.
我々は遺伝性ニューロパチー症例に対して, 次世代シークエンサーを用いたパネル解析, 全エクソーム解析を用いて診断率の向上を図ってきました.今回の解析にてさらなるIPN/CMT診断率向上を得たとともに,リピート異常伸張解析の重要性を示しました.
(Ando M, Higuchi Y, Yuan JH, et al. Clinical phenotypic diversity of NOTCH2NLC-related disease in the largest case series of inherited peripheral neuropathy in Japan. J Neurol Neurosurg Psychiatry. 2023 Mar 22:jnnp-2022-330769)