お知らせ

異なる2つの神経難病「遺伝性末梢神経障害と脊髄小脳変性症」を同時に引き起こす新しい原因遺伝子を発見

~病態解明・治療開発に向けての新たな一歩~

 

当科の髙嶋 博教授、樋口雄二郎医師らの研究グループは、東京大学大学院医学系研究科 分子神経学講座 (辻省次 教授)、京都工芸繊維大学・応用生物学系・染色体工学研究室 昆虫先端研究推進センター (山口政光 教授)らとの共同研究により、神経難病「遺伝性末梢神経障害と脊髄小脳変性症」の原因遺伝子を発見しました。

ミトコンドリア呼吸鎖複合体アセンブリ(集合)因子をエンコードするCOA7遺伝子の変異が、軸索型ニューロパチーや小脳失調症などの2つの異なる神経難病に特徴的な症状を同時に引き起こすことを突き止め、新しい疾患概念として軸索型ニューロパチーを伴う脊髄小脳失調症(Spino-cerebellar Ataxia with Axonal Neuropathy type 3”SCAN3)と名づけました。

遺伝性末梢神経障害と脊髄小脳変性症はいずれも、その病態や遺伝的原因が未解明の部分が多く、根本的治療法の確立されていない神経難病でありますが、本研究によりミトコンドリア機能異常が末梢神経および中枢神経の両方に神経変性を引き起こすことが解明されたことで2つの神経難病の病態理解が深まりました。さらに、本研究では世界で初めてSCAN3のショウジョウバエ疾患モデルの樹立にも成功しました。本研究は、SCAN3のみならず、遺伝性末梢神経障害や脊髄小脳変性症、その他の複数の系統が障害される神経変性疾患のさらなる病態解明や治療開発にも大きく貢献しうる成果です。

http://www2.kufm.kagoshima-u.ac.jp/topics/contents/1083-2018-05-11-04-33-54.html

https://academic.oup.com/brain/advance-article/doi/10.1093/brain/awy104/4985807

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