あけましておめでとうございます。2017年を迎えて、新年のご挨拶をさせていただきたいと思います。
鹿児島大学神経内科は、創設46年を迎えます。昨年は、平成28年8月12日、井形昭弘先生が突然ご逝去され、未だ悲しみがやまないです。井形先生は鹿児島大学第三内科の初代教授であり、創設者であり、いつも温かい言葉をかけてくださり、褒めることで応援してくださる先生であられました。その井形先生が始められた鹿児島大学第三内科も、様々な困難を乗り越えながら成長してまいりました。
当科では、井形先生の御意志であります、“患者の病を治すことが医の原点である。”“原因のない病気はない。原因を見つける努力をせよ。” というお言葉に従ってこれまで医局を挙げて努力してまいりました。
神経内科の領域も脳卒中、認知症、てんかん、筋萎縮症、ニューロパチー、各種しびれ、頭痛などの様々な疾患が有り、過去に比べますと相当に治療が進んでおります。一方で、難病などまだまだ治療が困難な疾患もあります。これまでも納光弘前教授によるHAMという疾患の確立のみならず、多くの新しい疾患概念の確立や、丸山征郎教授によるトロンボモジュリン(リコモジュリン)の製剤化など、あまたの医学の発展に大きく寄与する発見が、日常診療を通じて出てきています。近年では、世界ではじめての古細菌感染症の発見もひとりひとりの脳炎の患者さんの診断を高いレベルで正確に行ったうえででき得ることです。さらに、既存の知識にとらわれない新しい発想から、古細菌性脳炎のような新しい病気であっても病態を解析し、治療にむすびつけています。最近では、厚生労働省から子宮頸がんワクチンの診療機関に指定され、患者さんが多く来院されていますが、特に問題なく免疫機序による脳・神経の病気と診断し、治療をしています。
私どもの教室には、これまで46年間に蓄積された診断手法と分析能力、新しい疾患や病態を見極める経験が蓄積されております。それらは当科に足跡を残された先輩方により受け継いでいるものですが、その先人のなかから全国に20名を越える医学部教授を輩出し、それぞれが大変活躍されてことも、信頼を得ている一つの評価になるのではと考えております。
そのような鹿児島大学神経内科は、今後とも一人でも多くの患者の皆様の治療がうまくいきますように関連病院を含めて、医局員一同、連携して努力していきたいと思います。
鹿児島大学神経内科 髙嶋 博