第53回日本神経学会学術大会(東京国際フォーラム)が慶応大学神経内科 鈴木則宏教授のもと盛大に行われました。
今回の学会は、講演の内容もよく、全体的に演題のレベルも上がっています。プログラムも勉強しやすくなるように考えられ、参加者が実際に効果的に動けるように工夫されているように思いました。さらにプログラムがiPadによる閲覧も出来るようになるなど、全体的な派手さは控えて、実際に役立つ部分で進歩がみられたとてもよい学会であったと思います。
鹿児島大学からの発表は以下に示したようですが、免疫性疾患、HAM、CMT、感染症、筋疾患など幅広い領域にわたっていることも鹿児島大の特徴でしょう。この中にかなりの新しい発見が詰まっています。
当科が以前から取り組んできた若年性認知症HDLSもLate Breaking Symposiumで取り上げられ、池田修一信州大学教授とともに高嶋も参加させていただきました。長年原因が不明であった疾患も遺伝学の進歩により次々と原因が明らかにされます。
金曜日の遅くのシンポジウムにもかかわらず、熱心な神経内科の先生方で立ち見が出る状態でありました。
高嶋 博
【鹿児島大学の発表演題】
1.肥大型心筋症を合併した封入体筋炎の1剖検例 稲森由惠
2.早期HAMの診断基準提唱と臨床 松崎敏男
3.ST合剤とステロイドの併用療法が奏功した新規の脳炎 﨑山佑介
4.抗VGKC複合体抗体関連疾患における自己抗体解析 渡邊 修
5.Intravascular Lymphoma(IVL)の新規バイオマーカーとしての髄液BCA-1の有用性について 高田良治
6.重症筋無力症における予防的免疫吸着療法の術後クリーゼ予防に対する有効性 安藤匡宏
7.南九州地域の遺伝性小脳失調症の分子疫学と特徴 西郷隆二
8.家族性筋萎縮性硬化症の(SOD1 H46R)の進行期臨床像にかんする検討 大窪隆一
9.髄腔内baclofen療法12症例の検討 道園久美子
10.HTLV-Iキャリアーの脊髄にHTLV-I特異的細胞障害性T細胞は浸潤している 松浦英治
11.HAMとキャリアにおけるHTLV-I特異的CTL機能の比較検討 久保田龍二
12.GJB1変異を伴うCMTX25例の検討 樋口雄二郎
13.痙性対麻痺を主症状としたNEFL遺伝子異常を伴うCMT2E家系の検討 野村美和
14.CMT病の包括的遺伝子診断法の現状と展望 橋口昭大
15.当科におけるHTLV-I脊髄症 臨床的検討 田邊 肇