ハマラボセミナー第三回:礒村宜和先生(東京科学大・医歯学総合)
ハマラボセミナー 第三回(2026/06/15):礒村宜和先生(東京科学大)
頭部固定したげっ歯類でも認知課題が出来て、神経活動記録を取る事ができる、という事を2010年代に初めて示され、そこから細胞内記録、Juxta cellular記録とin situの合わせ技、そこから多電極による大規模記録+光同定、と革新的な仕事を多く成し遂げられてきた礒村さんの、鹿児島大・初訪問です。朝は生理学の授業を担当していただき、1日に3つもセミナーをするという働きっぷり(感謝です!)。朝の生理学の授業では、一度しかない人生、悔いなく生きよ、研究は面白いぞ、と研究を勧めて頂きました。

午後のセミナーの一番の見どころは、やはり海馬のRippleの再解釈(Sakairi, J. Neurosci., 2025; Rios et al., 2025)でしょう。Rippleとは記憶の固定化に関わると言われる、神経集団の高頻度発火イベントです。古来より、げっ歯類の海馬記録の結果からRippleは報酬を得た時に起こる、と言われてきました。しかし、頭部固定をした動物ではRippleはむしろ、課題をしていない時や動きを停止している時に起こり、課題をして報酬を得るという行動をすると、むしろRippleは減る、という事を示されました。そして、Rippleは“相対的停止”時に発生する事を提唱されました。宣言的記憶の固定化において、体を動かさない事の重要性を示唆する非常に面白い結果です。体を動かす事で余計な活動が起こる事が問題なのか、興味は尽きません。
他にも線条体における一連の仕事についてもお話されましたが、今回お話されていないドーパミン関係の仕事など、面白い仕事がまだまだあるようです。今後の仕事に、目が離せませんね。
文責:濱口航介