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専門医から研究活動まで幅広いキャリアパスを用意
脳神経外科は、『外科医の目と技で神経系疾患を治療する』診療科とよく言われます。現在は『脳神経外科』と標榜していますが、以前は『脳・神経外科』と表記していました。また、英語では『Neurosurgery』で表記されますが、これを日本語に直訳すると神経外科になります。つまり脳のみならず、脊髄や末梢神経も含めて神経疾患を幅広く扱い、治療をするのが脳神経外科と言えます。しかも日本では脳神経外科医は、手術治療のみならず、神経系疾患の非手術的治療をも含めて、神経系疾患を総合的に診療します。将来神経疾患を総合的に勉強して、診療、治療に携わりたい人には脳神経外科は最適な診療科です。
脳神経外科ではもちろん基礎的な外科的な手技の習得は必須になります。脳神経外科に必要な神経疾患の基礎知識と基本手術手技を4-5年で習得し、脳神経外科専門医試験を受けることになります。脳神経外科専門医取得後は、個人の希望と状況に応じてさまざまなsubspecialityと呼ばれる分野の専門医取得が可能です。脳卒中専門医、脳卒中の外科専門医、脳血管内治療専門医、小児脳神経外科専門医、神経内視鏡学会技術認定医、がん治療認定医、脊髄外科学会専門医、てんかん専門医、内分泌代謝科専門医、など多くの専門医の取得が可能です。将来脳卒中や脊髄外科を専門にしたい人は、脳神経外科でのトレーニングを受けていると必ず役立ちます。専門医取得後は、個人に希望にあわせたキャリアパスを用意しています。女性脳神経外科医の場合は、結婚・出産後も脳神経外科の第一線で働けるような環境を用意することを心がけています。
脳神経外科手術には、術前の画像シミュレーション、術中ナビゲーション、手術機器、電気生理学的モニタリング手技の進歩など技術的な進歩は目覚ましいものがあります。脳神経外科ではこのような技術的な進歩を直接体験できますが、neuroscienceの分野から得られた知識を実際の治療に生かすこともできます。しかしながら脳を中心とする神経系はまだまだ解明されていないことばかりです。脳神経外科では、このようなneuroscienceの分野での研究活動も行うことができます。また、悪性脳腫瘍の治療は集学的な治療を行ってもまだまだ満足できるものではありません。治療成績向上のためには、ゲノム解析、免疫療法、遺伝子療法などを研究し、将来的に積極的に取り得れて行く必要があります。脳神経外科にはこのような分野に興味がある人にも活躍の場があります。
脳神経外科では、神経疾患を幅広く扱います。脳神経外科は敷居が高いと考えている人がいるかも知れませんが、興味とやる気があれば大丈夫です。遠慮なく脳神経外科の門をたたいてください。