このサイトでは

研究の背景

放射線医学は診断や治療の分野において飛躍的な発展を遂げ、日本の放射線診療は、人口当たりのCTやMRIの装置数は、世界で最多となっています。しかしながら、福島第一原子力発電所の事故以来、患者の医療被ばくに関する不安は増幅され、必要な放射線検査であっても拒否する事態も起こっていると聞いています。このようなことからも我々看護職者には、放射線の有効活用を促進し、より専門的知識、技術を修得することによって、患者が安全な放射線治療を安心して受けられるように支援していくことが求められています。

そして、看護基礎教育において、文部科学省の「看護学教育モデル・コア・カリキュラム」は、放射線看護の関する学修目標として、「① 放射線診断、放射線治療の意義を説明できる。② 放射線の人体への作用機序を説明できる。③ 放射線の健康影響・リスクと被ばく線量との関係を説明できる。④ 放射線診断に伴う有害事象(造影剤の副作用等)を説明できる。⑤ 放射線診断に伴うリスクと看護について説明できる。⑥ 放射線治療に伴う有害事象(副作用)とその看護について説明できる。⑦ 医療者自身の被ばく防護方策を説明できる。⑧ 放射線被ばくに対する不安を理解し、関係職種とともに適切に対応できる。」が示されました。しかしながら、これまでの看護基礎教育ではカリキュラムが過密であり、放射線に関する教授内容は非常に少なく、さらに放射線の基礎知識に関する講義のできる教員が不足しています。医師、診療放射線技師等がその役割を担ってはいますが、はやり看護職による知識と実践が融合した教育が必要であると考えます。そこで、その解決策として、学士課程の学生講義に用いることができる、場所と人を問わず運用が可能な放射線に関する指導パッケージを提案しています。このパッケージを製作し運用することで、知識の普及が可能となり、解決に向かうものと考えます。

そして、研究者はこれまで、日本看護研究学会等の交流集会において、2年間、「看護学教育モデル・コア・カリキュラム」における放射線看護に関する教授内容と方法について、長崎大学、弘前大学の学部教育、大学院教育の取り組みを紹介し、学生に効果的かつ効率的に知識を修得させるためには如何にあるべきか、そして主体的に学び、学習を継続するためにはどうすべきかについて検討してきました。そこでまず、講義のできる教員が不足している現状に対して、指導パッケージを製作することで、特別な教育を受けていない者でも指導パッケージを利用し、授業運営できるようにすることをまず目的としています。そして、この指導パッケージを利用し、運用する場合の教育を支援していくことができればと考えている次第です。

このサイトの活用について

このサイトでは、放射線看護学教育を15時間で実施する内容になっています。
放射線看護学概要」では、文部科学省 看護学モデル・コア・カリキュラムの学修目標を示し、放射線看護学15時間1単位としての、この学修目標を鑑みたねらいを記しています。そして、それは放射線看護に関する教授内容と方法については、過密なカリキュラムの現状から15時間で放射線看護に必要な教授内容を精選したものです。そして、学生には効果的かつ効率的に知識を修得してもらい、さらに主体的に学び、卒業後も学習を継続してもらえるように工夫しています。次に、この放射線看護学15時間1単位の到達目標を示し、精選した放射線教育パッケージの内容を示し、このサイトに作成教材を示しています。
次の「放射線看護学15時間1単位の授業案」では、15時間(8回)の1回目からの授業計画を示しています。
そして、「放射線看護学(教材・資料)」では、15時間(8回)のそれぞれの授業案に基づいたプレゼンテーション資料が示されています。
また、「e-ラーニング(小テスト)」には、事前もしくは事後の自己学習として10の問題が掲載され、〇×で解答するものになっています。

また、近日中には、演習も含めた放射線看護学教育を30時間で実施する授業計画も作成予定です。

このサイトの活用方法と手順

活用方法

このサイトでは、作成した指導パッケージを使いたい、あるいは、「放射線看護学15時間1単位の授業案」を確認したい、「放射線看護学(教材・資料)」を見たい、「e-ラーニング(小テスト)」を試したい等ご希望される場合には、問い合わせメール機能により対応いたします。また、指導パッケージ運用、講義内容に関する疑問、その他の支障の発生時も、このメールシステムにより対応いたします。
特に、本学の放射線看護学の講義については、テレビ会議システムを使い、双方向遠隔授業を可能としています。従いまして、複数校での共同講義も可能ですので、是非お問い合わせください。このテレビ会議システムによる双方向合同遠隔授業ついては、本学はポリコム、もしくは、米国CiscoSystemの二つのシステムを導入していますので、ご希望のシステムを選び、双方向遠隔授業に参加することができます。以下図1に、このシステムの運用図を示しています。

図1 指導パッケージを利用した授業運営図

手順

もしくは、双方向遠隔授業を受講したい希望の場合には、

「看護基礎教育における放射線教育パッケージの製作および教育支援システムの開発」

○研究代表者
鹿児島大学医学部保健学科 松成裕子

○研究分担者
松田尚樹 :長崎大学原爆後障害医療研究所
伊東朋子 :大分県立看護科学大学
熊谷敦史 :福島県立医科大学
今村圭子 :鹿児島大学

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