皮膚から全身を診る-臨床も基礎研究もバランスよく極める-
皮膚科医は皮膚を観ながら全身を診ます。広い内科的な知識が不可欠です。皮膚は人体を包むゴムのような一枚の皮ではありません。皮膚は人体が外界と接する最前線です。皮膚には外界の様子を知るアンテナもあり、体を守る防衛隊の働きもあります。体の内部に異常があれば皮膚にそのサインが現れます。皮膚の内側と外側ではたえず情報のやりとりがあるのです。
皮膚科医は皮膚に現れる変化をこのようにダイナミックに捉えます。実際にどのような診方をしているのでしょうか? それは皮膚科に入ったらお教えします。一緒に勉強しましょう。皮膚科医はメスも持ちます。癌の大手術もやるし、形成外科的な手術もやります。皮膚科医は外科も出来る内科医のようなものです。これが皮膚科の診療科としての楽しさです。
これからの時代、ただ教科書通りに病気を診断して治すだけでは医者として生き残れません。病気の原因に迫る研究、新たな治療法を生み出す研究が求められます。それには基礎医学の知識が必要です。生化学、分子細胞生物学、病理学、解剖学、形態学など広い分野が含まれます。医者になった以上は患者さんを診たい。当然です。一方、研究もやるべきです。臨床と基礎研究を併行してできる科は、グルリと見回すと皮膚科が一番適っているようです。皮膚科の学問としての面白さです。
希望に沿った研究テーマをサポート
-個性を大事にできる医局規模-
それでは鹿児島大学で皮膚を研究しているところはどんなところでしょうか?
総勢三十数名、大き過ぎず、小さ過ぎず、全員の顔を見ようと思えば良く見えるし、チョコッと姿をくらまそうと思えば出来ないこともない、実に適切な規模の集団です。
そこには、ゆっくり歩いて進みたい人、ついつい走ってしまう人、車はノーマルアスピレーションが良いという人、何が何でもターボやらでチューンナップしなけりゃ気がすまない人、いろいろいます。
その個性は大切です。私達は自由を尊重します。臨床の中で、検査でも治療でも、何かこんなことをしてみたい、とあなたが思った時、しっかりと考えた理由さえあれば、まずダメと言うことはありません。研究テーマもこれをやれと押し付けることはありません。希望に沿って研究の方向を決めます。但し、研究はしたいけれども何をしたら良いのか分からない、という人には相応しいテーマを差し上げます。
視野を広げ人生を充実させる
-「世界で初めて」を発見するやりがい-
このような皮膚科で仕事をしていて、充実感を感じるのはどのような時でしょうか。仕事の充実感こそが楽しい人生の礎です。
医学部に入学して医者になろうというような人は、自分の専門領域は一生懸命勉強するでしょう。でも、それは当り前です。それだけでは面白くありません。専門以外にも興味を持っていたいものです。いろいろな分野の人とのつながりを作り、本や論文を多く読んで、右の世界も左の世界も大いなる好奇心を持って覗いて見たいものです。大切なのはそのもう一つ先です。右や左の世界と真中の世界を結ぶ道を探し出すことです。専門以外の分野で得た知識を自分の専門に活かすことです。それが出来た時、その成果は限りなく自分のオリジナルに近いものであり充実感が得られます。そしてこのようなことを繰り返すうちに、視野が大きく広がり、人生が楽しくなります。
皮膚科では、皮膚を対象にしながら内科も外科も基礎医学も勉強します。そうです。皮膚科というのは実は人生を楽しくする学問なのです。鹿児島大学の皮膚科ではこのように人生を楽しみながら、世界で初めての病気、世界で初めての診断法、世界で初めての治療法、皮膚病の原因となる遺伝子異常などを一流の国際誌に続々と発表しています。今この紹介文を読んだあなた、一緒に皮膚科で楽しい人生を送りましょう。
(文責 金蔵拓郎)