第29回地域包括ケア交流会に参加させて頂きました\(^o^)/

日時:2018年12月25日(火)

場所:大島郡医師会館

平成26年度、文部科学省に採択された本事業では「離島・へき地をフィールドとした教育プログラム」を展開してまいりました。なぜ地域医療・ケアを担う人材を「離島・へき地」で育成するのかと言いますと・・・・以下の3点です。

1、鹿児島県の離島・へき地は高齢化が急激に進行し、地域で最期まで生きる事を支える人材や医療資源の不足、という今後日本全体が直面する医療・ケア問題(2025年問題)をすでに抱えている現状があり、一方で、合計特殊出生率は全国平均より高く、地域互助システムが機能している特徴がある。

→すなわち、いのちの誕生から看取りまでを住み慣れた地域社会で支えることのできる人材養成を目指すことができる

2、鹿児島県の地理的特徴として、九州最南端に位置すること、また、離島においては、島嶼同士の距離が離れていることなどから、そこに生活する人々は独自で多様な文化(価値観、生活様式、風土など)を発展・保持してきている。

→生活者の独自な価値観や暮らしを理解し尊重したケアを行うという地域医療・ケアを担う人材にとって不可欠な能力を育成することができる。

3、離島・へき地では、看護職が大きな役割を担わざるを得ない現状がある。

→自己の看護提供に責任を持つこと、ケアマネージメント力、倫理観、チームへ繋げる力、多職種協働、など地域医療・ケアを行う人材にとって必要な能力を育成することができる。

実際に離島・へき地で実習を行わせて頂きましたが、履修生のレポートより、教育効果は高いと感じました。以下は奄美で実習させて頂いた学部生のレポートの一部です。

  • 実習前私は、離島医療は限られた資源しかなく、患者さんが安心し・安全な医療を受けるには多くの不便なことがあるのではないかと考えていた。しかし、実習をさせて頂き、自分の考える間違いに気づくことができた。人と人との繋がりや温かさなど、素敵なことも多くあり、ないものを感じさせないくらい、あるものを育んで成り立っている離島医療の良い面を感じることができた。 
  • 奄美での実習を通して、とても温かい人と多く出会うことができた。島の現状を何とかしようと、支えたいという思いから“医療者として何ができるか”という強い思いで働いているのだと感じた。 
  • 対象一人ひとりの情報を多職種で共有し、この人が地域で暮らしていくためには何が必要かと連携し、サポートする大切さを感じた。 
  • 同じ県でも人々の習慣が異なっているということを感じた。その異なった文化を理解し、対象の生活背景・文化を知り、考え、在宅でのケアや退院支援に繋げていくことがとても大切であると学んだ。人々との関わり合い、文化について学ぶことの楽しさ、大切さを感じることができた。 
  • 訪問看護や診療を選択し、住み慣れた自宅で生活を送っている人は自分自身の想像よりもはるかに多く、在宅へ帰るというのは支えと本人の意思があれば可能なのだと感じた。 
  • 本人の意思を尊重し、キュアよりケアを重視していた。なぜその人がこのことを大事にしているのか、価値・信念や文化、そして家族などのキーパーソンとの関係性などから考え、その人を看ることで見えてくるものの多さに気付くことが出来た。訪問看護で伺ったお宅では、顔の見える関係性だからこそ、顔色や声のトーンなどから気付くこともあり、また笑顔も多く見られ、病院ではあまり見ることのできないイキイキさを引き出せていた。 
  • 様々な視点から対象を見ることでより全体像を捉えることが出来る。その視点を共有しケアに繋げるには多職種同士の顔の見える関係性が必要であると学んだ。 
  • この実習で多くの医療職から「離島医療に対する想い」を聞かせて頂いた。「離島だからといって出来ないということはあってはならない」「その人らしさは何かということが大切である」などの様々な想いこそがケアの本質であり、目指すべき姿であった。資源が限られていても「仕方ない」というのではなく、その中で自分達になにが出来るのかということを考え、最大限のケアを提供する。これこそが私が今回の実習で学んだ最も大きなものであり、最も大切にすべき姿勢である。 
  • 私は母子保健に興味をもっていて、今回の実習に取り組んだが、本土での母子保健は子供の治療がメインであり、母親の不安や悩みに寄り添っていたり、子どもの遊びを重要なことであると捉えている様子というのはあまり目にしてこなかった。今回の実習で、母親への精神的支援や療育の重要性が理解できた。私は奄美での実習を通して地域・在宅医療の視点の重要性、そして人に頼ってもらえる看護職がどれほど求められているかについて学ぶことができた。

このような経緯から、教育フィールドとしてお世話になった奄美で2月に大島郡医師会・離島医療塾と共催でシンポジウムを開催させて頂くことになりました。開催させて頂くにあたり、大島郡医師会長、事務局の坂元様にお力添え頂き、奄美での素晴しい取り組み(地域包括ケア交流会)についてご紹介頂けました。とても興味深かったので参加させて頂きました。 予想通り、とても楽しく学びの深い交流会でした。ファシリテータは在宅医療連携支援センターの冨川様で、参加者が楽しく主体的に取り組めるよう進行されていました。内容に関しましては、毎回テーマを決めて知を共有し、その後、地域包括ケアシステムの植木鉢を参考にそれぞれの専門職種の思いを共有していきます。今回は、次年度に取り組みたい・話し合いたいテーマの検討でした。様々な専門職種の方が、地域を思い、自分達に何ができるのかを模索し共有されていました。職種の垣根を超えて、医師、看護師、保健師、理学療法士、介護職、ケアマネジャーと様々な職種が集まり、ディスカッションできる場があることはとても素晴らしいと思いました。このような環境を整えていくことで、多職種連携に必要とされるコンピテンシー(能力)が育成され、職種協働に繋がるのだと再認識しました。 奄美の皆様、離島・へき地を含めた在宅医療の発展に寄与できる人材の育成を使命とする鹿児島 大学医学部保健学科がこれからも目標を達成できますよう、今後ともご指導・ご鞭撻下さることをお願い申し上げます。そして、ぜひ、奄美シンポジウムお越し頂けたら幸いです。これからの地域包括ケア・地域共生社会に向けて、談義できますことを心よりお待ちしております。
                   

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。