アドバンス1期生「“看護”のためのフィジカルアセスメント演習」を実施しました」

「“看護”のためのフィジカルアセスメント演習」を実施致しました。

ss 20161109 01
日時:2016年10月16日(日)~17日(月)
場所:鹿児島大学病院 総合臨床研修センター(セミナー室)

アドバンスコース1期生は2年目に入り、いよいよ「地域での暮らしを最期まで支えるための訪問看護実習」に入ります。
そのためには医療と生活を統合したアセスメント力の修得が必要となります。
そもそも、看護師は何のために「フィジカルアセスメント」を行うのでしょうか!?
フィジカルアセスメントを行うことに主眼がおかれてしまい、療養者の生活を支援するという目的が見失われてはいないでしょうか!?また、誰が行ってもぶれることのないアセスメントが実施できているでしょうか!?
療養者・家族が望む在宅療養を、療養者・家族と共に思い描き、在宅療養生活に役立つ医療・看護を調整し、多職種で共有できるよう正確な言葉で伝えることがフィジカルアセスメントの意義ではないでしょうか!?
そこで、今回は、身体と生活を統合した“看護”のためのフィジカルアセスメントについて、再考するために演習だけでなく、講義も入れてじっくりと2日間かけて行うことに致しました。

講師は「フィジカルアセスメント」の第一人者として多くの著書を執筆、また全国各地でセミナー講師をされている名古屋大学大学院医学系研究科臨床アセスメント学分野教授の山内豊明先生にお願い致しました。山内先生は、医師でありNPでありまた、看護師や保健師でもあるため、多角的視点で医療と生活を統合したアセスメントについてご教授頂け、履修生の教育効果が高まると考えたからです。実際に参加者は多くの示唆を得ることができました。(アンケート感想参照)。
また、本事業の普及・広報、養成に係わる現場の実習指導者等の教育・指導能力を高めるための研修会を開催する必要もありましたので、今回は公開講座と致しました。

2日目の演習では、多職種連携ハイブリッドシュミレータ“SCENARIO”を使用し、課題解決力や柔軟な対応が求められる訪問看護の事例を用いて実践形式で行いました。
在宅看護では、看護師が療養者に接する機会は断片的となります。この時に、前回と比べどのような変化が起きているのか、次の訪問まで安定して生活できるかどうかを判断することが重要となります。また、急に苦痛となる症状が現れたら、緊急に訪問することもあり、この時も身体に何が起こっているのかを判断しなくてはならなりません。
急変なのか、予測可能な変化が現れたのか正しく判断できるかは看護師の力量となります。この演習では「心身の異常や変化に気付き、何が起こっているのか正しく推論し、正しく聞き取り、正しく伝え、異常時には迅速な判断ができる」そして「数値だけの判断ではなく、前回と比べてどうなのか、次回の訪問まで安定して過ごせるのかどうかという時間軸でアセスメントし、療養者と家族の望む医療や生活を支援することができる」ことをねらいとしました。
また、目標は下記のとおりと致しました。

①    心身の異常や変化に気付き、何が起こっているのか正しく推論できる。
②    療養者・家族から正しく聞き取り、生活に変化がないかアセスメントできる。
③    数値だけの判断ではなく、前回と比べてどうなのか、次回の訪問まで安定して過ごせるのかどうかという時間軸でアセスメントできる。
④    介護力をアセスメントできる。
⑤    療養者と家族の望む医療や生活の意向を確認でき、医師へ報告(SBARを用いて)できる。
⑥    療養者・家族への説明、日常生活の注意点を指導できる。
⑦ 自らのコミュニケーション能力・フィジカルアセスメント能力・看護観により聞き取れる内容が異なり推論が変わってしまうこと、そして判断や対処が異なることを省察することができる。

演習には、地域の医療機関、教育機関、訪問看護ステーション等に従事する看護師が参加してくださいました。
演習を通して、それぞれの立場で優先だと考える看護について、ディスカッションすることができました。
様々な視点から「看護」に必要とされるアセスメントや対応についてデブリーフィングすることができ、多くの示唆が得られたようです。(アンケート感想参照)。
山内先生やご協力くださいました京都科学さんからも「とても深いデブリーフィングが行えた」とお褒めの言葉を頂きました。また、演習をとおして「履修生の視点が医療的視点から全人的視点へ変化してきている」と感じました。
医師への報告時には、アドボケイター的役割も実演できておりました。
これまでの学びを通して「看護を再考する力」がついてきているのだと嬉しく思いました。
お忙しいところ、2日間も鹿児島の看護の質の向上のためにご教授・ご支援くださいました山内先生、京都科学様に心から感謝申し上げます。

ss 20161109 02

ss 20161109 03

ss 20161109 04

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。