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鹿児島大学大学院 医歯学総合研究科 分子腫瘍学分野
研 究 内 容


■核小体ストレス応答の制御機構の解明と抗がん剤の創生
 核小体ストレス応答は癌抑制因子p53を 制御する新たな機構として注目されています。私達は核小体ストレス応答を制御する新規分子としてPICT1を 同定し、PICT1遺伝子の欠損や発現低下は、核小体ストレス応答を起こし、p53の増加により腫瘍細胞の増殖を抑制すること、腫瘍患者の予後良好さと関連すること、様々な生理機能を制 御することなどを明らかにしてきました。
 核小体ストレス応答が、生体の恒常性維持や腫瘍か進展の抑制に極めて重要と考えられたことから、このストレス応答の特異的に蛍光シグナルとして検出でき る可視化レポーターシステムを構築しました。現在、このシステムを活用し、核小体ストレス応答を誘導する抗がん剤の開発や、核小体ストレス応答が制御する 新たな生理機能の解析を進めています。

■抗がん剤耐性の機構
 ウイルソン病の原因分子、銅輸送体蛋白質ATP7BはSLCの一つで、その発現が上昇した癌細胞では、シスプラチンにm対して耐性となることを私達は発見しました。
 また、同じ
銅輸送体蛋白質の仲間でメンケス病の原因分子ATP7Aの発現上昇は広範な抗癌剤の体制に関わっていることを見出しております。腫瘍制御外科学分野(旧第1外科)の先生方との共同研究で、ATP7Bが発現している大腸癌症例の細胞は発現していない症例の細胞に比べて、塩酸イリノテカンの活性化体SN-38に有意に抵抗性になることを明らかにしました。

■輸送体たんぱく質(トランスポーター蛋白質)
 細胞は膜で仕切られており、内部と外部では環境をことにしています。必要なものを効率よく取り込み必要でないものや外になるものを輩出するために輸送蛋白質があります。
 輸送体蛋白質はヒトでは49種類知られているABCトランスポーターとSLC(solute carrier)蛋白質と呼ばれる500種類もの輸送体蛋白質があり、核酸、アミノ酸、金属など様々な分子を輸送しています。私達は主に抗癌剤の輸送の観 点から輸送体蛋白質の性質についても研究しています。






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先進治療科学専攻 腫瘍学講座
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