離島医療学講座開講にあたって
鹿児島大学医学部では、「21世紀の大学はいかにあるべきか」というテーマで、
約10年前から討議を重ねてきました。
この中で、離島医療学(Island Medicine)の重要性が認識され、
地域医療のモデルとなる学問体系を構築していくことになりました。
このたび、鹿児島大学医学部に離島医療学講座が開設され、
離島医療の教育と研究の中核が出来ました。ここでは、離島の自然の恵みを生かし
伝統文化に裏打ちされた保健医療の実践的教育と研究を目指しております。
当面の課題は高齢者医療、救急医療を含めたプライマリ・ケア、
離島特有の疾病対策などでありますが、離島医療をになう人材の育成、
学生や若い医師に「医の原点」を学ばせる教育も重要と考えております。
将来的には東南アジア、西太平洋、カリブ海も視野に入れた
国際島嶼医療学の発展にも貢献したいと思います。
南西諸島は九州と南方海域を結ぶ海の要衝として栄えた時代もありましたが、
日本の近代産業と都市化の大波の中で、離島社会の健全の発展が損なわれてきました。
新設の講座では、離島の人々が健全で安心、平和に暮らせる保健医療のあり方を
研究し離島医療学の新しいパラダイム(学問体系)を確立したいと思います。
離島医療学講座開講記念式典 (平成14年3月15日)
特別講演 川勝平太先生