研究内容

臨床研究

臨床研究

1.灌流指標を⽤いた術中循環管理の検討 (ランダム化試験)(五代 幸平)

 近年、手術中の循環管理において心拍出量や平均血圧などの目標値を維持する目標志向型循環管理が主流となってきています。心拍出量を測定するには肺動脈カテーテルや動脈圧波形解析が必要です。この研究ではより簡易に測定可能なパルスオキシメータでの灌流指標(拍動成分と非拍動成分の比)を用いて、目標志向型循環管理を行いました。そして組織低灌流で増加する乳酸値を比較しました。術中低血圧時間や輸液量は減少しましたが、灌流指標を⽤いた目標志向型循環管理では乳酸値に変化はありませんでした。本研究はネガティブな結果でしたが、より良い術中循環管理への1研究として、エビデンスレベルの高いメタアナリシスにも含まれています(Br J Anaesth. 2022; 128: 416-33. PMID: 34916049)。

発表論文

・The effects of hemodynamic management using the trend of the perfusion index and pulse pressure variation on tissue perfusion: a randomized pilot study. JA Clin Rep. 2019; 5: 72. PMID: 32026142.

2.乳児正常気道及び困難気道に対する気管挿管におけるマルチビュースコープの有用性の検討(ランダム化・クロスオーバー・マネキン試験)(五代 幸平)

 乳児は無呼吸になってから低酸素血症に陥るまでの時間が成人に比べて短いことが知られています。そのため気管挿管に時間が掛かれば、低酸素血症を来す危険性が高くなります。しかし乳児患者を集めてランダム化臨床試験を行うことは困難です。マルチビュースコープ・スタイレットスコープは挿管チューブに装着可能なスタイレットタイプの硬性鏡であり、通常の喉頭鏡を用いた直視下気管挿管に比べて視野の改善が期待できます。乳児正常気道モデル及び気管挿管が難しい困難気道モデルのマネキンを用いて、気管挿管におけるマルチビュースコープ・スタイレットスコープの有用性を検討しました。マルチビュースコープ・スタイレットスコープで前歯にかかる力や視野は改善しましたが、気管挿管時間は短縮しませんでした。

発表論文

Comparison of the MultiViewScope Stylet Scope and the direct laryngoscope with the Miller blade for the intubation in normal and difficult pediatric airways: A randomized, crossover, manikin study. PLoS One. 2020; 15: e0237593. PMID: 32790734.