医学科2年生の科目「チーム医療1」では、多職種が連携し、患者中心の医療を推進するチーム医療の概要を理解することを目的として、学生は医師、医療専門職に関する講義、救急蘇生実習、手指衛生実習後に、鹿児島市内の14か所の地域医療・保健・福祉施設、および鹿児島大学病院の看護部・検査部・薬剤部で実習を行いました。さらにポスター発表で、チーム医療への理解を深めました。
1)学外施設実習
地域医療・保健・福祉に携わる様々な施設に数名で行き、医療専門職がどのように患者・サービス利用者を尊重したチーム医療を行っているか、現状の問題も含めた理解を目指しました。実習後の学生の共通の学びは、具体的な施設の違いや自治体等の地域レベルでの支援の必要性、医療従事者間の患者・利用者さんの情報共有のやり方でした。また、現場スタッフの多忙さを目の当たりにし、医師を目指す学生自身が今できることを各々考えるきっかけとなりました。
病院内の介護老人保護施設・リハビリテーション施設:退院カンファレンスの見学し、医師の役割やチーム医療の重要性を学びました。多くの学生が回復期のリハビリの様子を見る機会が少なく、施設の感染対策の徹底や、様々なリハビリ器具を用いた治療のアプローチの幅広さに驚いておりました。
介護老人保健施設・ディサービス:介護保険の知識や、高齢者が増えていく「2025年問題」に対する現場の声を聞き、自立した生活を送るための支援方法や医療者側に必要なことなど考える機会を得ておりました。実習中には実際に利用者の方と接する機会も設けていただき、利用者さんとの距離感の大切さ・難しさを実感しました。中には、施設内のレクレーションの工夫やスタッフの方のコミュニケーション力に感銘を受けている学生もおりました。
訪問看護ステーション:訪問看護に同席し、患者・医療者関係の密度を体感しておりました。現場では、訪問看護に対する医師の理解の必要性や、介護される側だけでなく介護をする家族の方のケアの必要性など、実際に見ないと分からない現場の声を得て、刺激を受けておりました。これから増える可能性のある在宅医療に関心を持ち始めた学生もおりました。
がんサポートかごしま:1年次に患者との対話を体験していなかった学士編入学生のためにがん患者・経験者と直接話をする場を設けていただきました。医師が患者の背景を理解し、医療を行うことが重要性を学んでおりました。
2)大学病院実習
看護部:現場の看護師業務を側で見学し、仕事量に圧倒されておりました。また、食事や投薬、基礎情報の聞きだし等、看護師と患者さんの距離の近さや細かな仕事に医療が支えられていることを学んでおりました。そして、将来医師となる立場として看護師や医療スタッフとの情報共有・コミュニケーションの必要性を学んでおりました。
薬剤部:薬剤師が入院患者の使用している薬の管理をしていること、薬の効果等を医師に助言することなどを学んでいました。チーム医療として、投薬の際は薬剤師の力を借り、適切な投薬をする必要を感じておりました。
検査部:検査部の役割が、感染症への対策や、菌と処方薬の耐性の関係を調べ医師に助言する等、幅広いことに驚いておりました。今後医師として、他職種とも相談し合える関係性の大切さを感じておりました。
3)ポスター作成と討議
15のグループに分かれ、実習での経験を生かして「患者中心の医療を実現するチーム医療」という課題に対し討議しました。各グループがチーム医療について理解したことをポスターにまとめて、授業の最終日にはポスター発表を行いました。(ポスター内容は下記になります。)
お忙しい中、実習を受け入れてくださった施設の皆様には、学生のご指導と評価、ご意見もいただきました。深く感謝申し上げます。
ご協力頂きました、域医療・保健・福祉施設の詳細はこちらになります。