医学科2年生の科目「チーム医療1」では、多職種が連携し、患者中心の医療を推進するチーム医療の概要を理解することを目的として、学生は医師、医療専門職に関する講義、救急蘇生実習、手指衛生実習後に、鹿児島市内の13か所の地域医療・保健・福祉施設、および鹿児島大学病院の看護部・検査部・薬剤部で実習を行いました。さらにポスター発表で、チーム医療への理解を深めました。
1)学外施設実習
地域医療・保健・福祉に携わる様々な施設に数名で行き、医療専門職がどのように患者・サービス利用者を尊重したチーム医療を行っているか、現状の問題も含めた理解を目指しました。実習後の学生の共通の学びは、具体的な施設の違い、患者・利用者ひとりひとりの症状・性格情報共有や状況に合わせた対応の必要性だけではなく、医療職が互いにリスペクトすることの重要性でした。
病院内の介護老人保護施設・リハビリテーション施設:多職種連携時に栄養部や医療機器メーカーのスタッフが関わることへの驚きや、退院カンファレンスの見学、実際にリハビリを受ける患者さんが使っている道具を使用させてもらうことでの実感、現場で働く医師の意見に刺激を受けておりました。
介護老人保健施設・ディサービス:介護保険の知識や、病院と施設の違いを学び、自立した生活を送るための支援方法や医療者側に必要なことなど考える機会を得ておりました。また、学生は、高齢者の方や認知症の方、寝たきりの方と接する機会が少なく、実習中に実際に利用者の方と接する機会も設けて頂いて、「老健・健康寿命」を目の当たりにしたり、コミュニケーションの大切さや難しさを実感し、コツを教えてもらったりしておりました。中には、相手のプライバシーに踏み込み過ぎないような適度なコミュニケーションへの気付きや、利用者さんから励ましの言葉を頂いている学生もおりました。
訪問看護ステーション:訪問看護に同席し、患者・医療者関係の密度を体感しておりました。現場では、介護される側だけでなく介護をする家族の方のケアの必要性など、実際に見ないと分からない現場の声を得て、刺激を受けておりました。
がんサポートかごしま:1年次に患者との対話を体験していなかった学士編入学生のためにがん患者・経験者と直接話をする場を設けていただきました。「常に患者側の立場・考えを頭におきながら、医師として学んでいきたい」と改めて強く感じておりました。
2)大学病院実習
看護部:現場の看護師業務を側で見学し、仕事量に圧倒されておりました。また、食事や投薬、基礎情報の聞きだし等、看護師の細かな仕事に医療が支えられていることを学んでおりました。そして、将来医師となる立場として看護師や医療スタッフとの情報共有・コミュニケーションの必要性を学んでおりました。
薬剤部:薬剤師が調剤や病棟での活動しやすくするための機械の導入など工夫を学んでおりました。また、薬剤師の薬に関する知識量を知り、チーム医療として、投薬の際は薬剤師の力を借り、適切な投薬をする必要を感じておりました。
検査部::検査結果が出る流れを学び、当たり前のように出てくるデータが検査部の正確な仕事によって成り立っていることを知り、今後医師として、他職種への感謝の気持ちを持ち続けることの大切さを感じておりました。
3)ポスター作成と討議
15のグループに分かれ、実習での経験を生かして「患者中心の医療を実現するチーム医療」という課題に対し討議しました。各グループがチーム医療について理解したことをポスターにまとめて、授業の最終日にはポスター発表を行いました。(ポスター内容は下記になります。)
お忙しい中、実習を受け入れてくださった施設の皆様には、学生のご指導と評価、ご意見もいただきました。深く感謝申し上げます。
ご協力頂きました、域医療・保健・福祉施設の詳細はこちらになります。