最小限うつ伏せ姿勢を用いた黄斑円孔手術

1.共同研究機関の名称

なし

2.研究者等の氏名

感覚器センター(眼科) 教授 坂本泰二
感覚器センター(眼科) 助教 山切 啓太、園田 恭志、医員 山下 敏史

3.被験者の選定の方針及び症例数

黄斑円孔手術症例のうち、本研究に同意した患者
症例数:約30 症例

4.本研究、検査の意義、目的、方法及び期間

@意義:黄斑円孔に対する硝子体手術(ガスタンポナーデ)による初回閉鎖(治癒)
率は9 割を超えるようになってきた。従来、術直後から厳重なうつ伏せ姿勢が必要とされ
てきたが、最近になりうつ伏せの有無は治癒率とは関係がないという報告が相次いでい
る。それらの報告によると、うつ伏せに伴うQOL低下(患者の負担)なしで同等の治癒率
が得られるが、EBM 確立のため多くの症例が必要であると共に、治癒しにくい黄斑円孔症例に限ってはうつ伏せ(=ガスを円孔にしっかりと接触させる)が必要な可能性があるとさ
れている。治癒しにくい黄斑円孔症例を事前に決定、分類することは現時点では難しい。
円孔閉鎖の確認は光干渉断層計(OCT)で行うが、眼内にガスが残存している期間(ガス
充満眼)は撮影ができないという問題があった。ところが、最近我々はガス充満眼に対し
ても全例に十分な信頼性を得られるOCT検査が可能であることを報告した。
以上を踏まえ、本研究は術後に円孔の閉鎖・非閉鎖を直接OCT で判断した上で、閉鎖し
ていない症例(=治癒しにくい症例)に対し、うつ伏せしなければガスが円孔にあたらな
い期間にのみうつ伏せを行うという、適切かつ最小限の患者負担でより合理的な治療を目
標とした前向き研究である。
A目的:最小限うつ伏せ姿勢を用いた黄斑円孔手術
B方法:黄斑円孔に対する硝子体手術後に、最初はうつ伏せを行わない。術
後にOCT 検査を行い、円孔閉鎖が確認できずうつ伏せしなければガスが円孔にあ
たらない期間にのみうつ伏せを行うというものである。
C期間:臨床研究承認日から統計学的に必要な30 症例が集まるまで(予
想では平成24 年12 月30 日ごろ)

5.予想される効果と副作用又は被験者に及ぼす不利益及びそれに対する
対応

効果:最小限の患者負担で従来と同じ治癒率を得る
副作用又は被験者に及ぼす不利益及びその対処法等:特になし

6.当該研究に係る資金及び関係機関との関係

なし