ベーシックコース2期生 実務研修プレステップを実施しました!

日時:平成30313日(火)~329日(木)(実習期間のうち3日間ずつ)

場所:南さつま市 さつま訪問看護ステーション

 

ベーシックコース2期生を対象に金峰町のさつま訪問看護ステーションで実務研修プレステップを行いました。ベーシックコース2期生は、昨年本学部を卒業しました。ほとんどの履修生は新卒看護師として病院などの医療施設に就職しています。履修生はこれまで看護基礎教育の中で「対象を生活者として捉える」ということを学んできましたが、それを実際に行う困難さを感じ、仕事を必死でこなしている様子でした。未熟であるという自分に直面するつらさを感じながら、それでも看護師、保健師としての自分を作り上げ、自分自身を変えていこうというしたたかさを感じました。実習では、訪問看護師のシャドーイングにより在宅看護過程を追体験し、履修生自身が在宅看護過程を展開できるための基礎的な“あたまづくり”を行いました。治療が最優先の病院という環境では、対象者を生活者として捉えることは難しいかもしれませんが、五感を使い普段の暮らしに寄り添った感性をもったみなさんなら生活を見据えた看護を提供できると思います。

カンファレンスでは、「病院に入院している患者さんや在宅で生活する人を特別にみていた自分がいたのかもしれない。」「『沈黙も大切なコミュニケーションの1つ』という指導者の言葉が心に残っている。沈黙になると誰かが話を切り出さなければ、と焦った気持ちになってしまうことが多々あった。考える時間を与え、自分自身も考えを整理することができるという利点がある事に気づいた。」とさまざま気づきがありました。

◇履修生の実習での学び ①◇

今回の研修を通して、「この病気だから幻聴や幻視が現れるのは仕方ない」と言ったように無意識に思い込んでいたことに気づいた。プロセスレコードを用いて自分自身が考えたこと、考えたことから行動したことを言語化して振り返ることで自分がどのような思考を辿って行動に移したかがわかる。そのようにして自分の看護を日々振り返り自分がどのような考えで看護を行なっているかを知ることで倫理的感性を高めることに繋がると考える。

プロセスレコードを用いて自分自身がその場面で感じたことを言語化し、訪問看護師さんにその場面においてどのようなことを考え看護を行ったかを説明していただいたことで自分自身が陥りやすい傾向、看護の偏りについて学ぶことができた。実習2日目に認知症で独居の方を訪問させていただいた。訪問看護師さんは血圧測定の際に上着を脱いだとき「今日はパジャマから着替えた?」と尋ねられた。対象者さんは「着替えたよ。」と答えられた。現在病棟に勤務していて患者さんは皆病衣を着ている。夜寝る時も朝起きてからも同じ服装である。しかし在宅では生活習慣として朝起きたら更衣をするという習慣もある。私は生活者としての視点をもち看護を行うことを目標としていたが、どこかで疾患を抱えた人は自分とは何かが違うと思い込んでいたのではないかと感じた。同じ人として捉えることができていなかったのではないかと考えた。このように自己の看護を客観的に分析・評価しなければ、看護過程を展開していく上で個別性を重視したものではなくなってしまうのではないかと考える。

 

◇履修生の実習での学び ②◇

今回の実習では、最終カンファレンスで倫理について感じたことを話し合った。私は、旦那さんが奥さんを介護で支えている高齢夫婦の家族について取り上げた。介護者が高齢であるため、介護の手技が確立できず、奥さんが困っているのではないかと感じた事例である。奥さんは、夜18時に訪問看護師がおむつを交換してから、朝9時の訪問看護師が来るまではそのままの状態で「お尻がかゆい」と話されていた。旦那さんは、脳梗塞を発症し認知機能が少し低下して、現在介護保険を申請中である。旦那さんはおむつ交換で失敗した経験があり、娘さんが旦那さんに「おむつ交換は看護師に任せて。」と話をされ、それ以降おむつ交換に消極的になった。旦那さんがおむつ交換を簡単にできるように、看護師がおむつ交換の際、パッドを2枚入れ、抜くだけで交換できるように工夫されている。看護師は旦那さんが見えるところに「パッドを抜いてください。」と張り紙をしたところ、替えてくださったこともある。しかし、毎回はできていないため、奥さんは掻痒感がある。奥さんの安楽を考えると、おむつ交換の手技を旦那さんが確立させるのが一番良いと私は考えていた。しかし、最終カンファを行い、「在宅ごと、家族ごとに環境や背景は異なるので、目標をどこに置くかはそれぞれ違う。」という指導者さんの言葉に考えさせられた。旦那さんは、奥さんのために毎日料理をされていて、奥さんはそれを嬉しく思っている。目標は「旦那さんがおむつ交換をできるようになること。」ではなく、「旦那さんが得意な料理などを続けながら、できるだけ長く二人での生活を続けられること。」である。本人と家族の今まで培われた関係性があり、それぞれの役割を遂行することが大切であると学ぶことができた。家族内の関係性をうまく捉えられるように、観察力とアセスメント力を鍛えていきたい。

 (最終レポートより一部抜粋)

さつま訪問看護ステーションの皆様、このような学びの場を提供していただき、心から深く感謝申し上げます。

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