お知らせ
2005年1月1日から2024年3月31日までに本学法医学分野で法医解剖が実施されたご遺族及びその関係者へ
鹿児島大学大学院医歯学総合研究科法医学分野では、以下の研究を実施しております。この研究は、法医解剖の際に採取された臓器及び体液を試料として行う研究です。このような研究は、文部科学省・厚生労働省の「人を対象とする医学系研究に関する倫理指針」の規定により、研究内容の情報を公開することが必要とされております。この研究について詳しくお知りになりたい時や、研究への参加を希望されない場合は下記の「お問い合わせ先」へご連絡ください。
【研究課題名】
中枢神経系免疫システムを介した脳の生活反応の解明
【研究機関】
鹿児島大学大学院医歯学総合研究科社会・行動医学講座法医学分野
【研究責任者】
鹿児島大学大学院医歯学総合研究科社会・行動医学講座法医学分野
教授 林 敬人
【研究の目的】
法医学では、生活反応(出血や細胞反応などの生体反応)の有無は、ご遺体の傷が生前にできたものか、死後にできたものかを示す重要な証拠です。また、免疫細胞の反応を調べることで、受傷後の経過時間を推定できることもあります。ところが、これまでリンパ球の様な免疫細胞を利用した脳の生活反応の解析は殆ど行われていませんでした。その理由は、正常な脳ではリンパ球の様な免疫細胞の出入りはないと考えられていたためです。しかし、近年、動物の中枢神経系で脳脊髄液から髄液と免疫細胞の両方が輸送されていることが分かってきました。
そこで、この研究ではヒトの脳にも脳脊髄液を介して免疫細胞が移動する仕組みや構造があるかを調べます。この研究で、脳脊髄液を介して移動している免疫細胞の種類や性状を特定し、脳の生活反応に関わる免疫細胞を明らかにすることができれば、これまで見過ごされてきた生活反応の指標として利用できると考えています。
本研究は保有する既存試料・情報を用いた研究であり、ご遺族から同意を得ることは困難です。そこで、この研究では、本分野にて法医解剖が実施され、保有している脳、脳脊髄液、血液、脾臓、リンパ節及び骨髄を用います。
【研究の方法】
法医解剖では死因などを究明するために、法律に基づき、裁判所の許可を得て検査および鑑定に必要な試料およびそれに付帯する情報を取得しています。この研究では、法医解剖の一環として取得された脳、脳脊髄液、血液、脾臓、リンパ節及び骨髄とともに付帯する情報を収集します。また、法医解剖に準じて、個人情報には匿名処理を施し、個人情報が漏洩しないよう十分に留意します。
提供していただいた脳を用いて脳脊髄液を介して免疫細胞が移動する仕組みや構造があるかを調べます。また、脳と脳脊髄液に含まれる免疫細胞の種類や性状を調べ、脳に損傷や変性があるご遺体あるご遺体とないご遺体で分析結果を比較します。また、死者に付帯する情報とともに、脳の生活反応に関わる免疫細胞を明らかにします。
【利用する試料・情報について】
2005年1月1日から2024年3月31日の間に本学で法医解剖によって試料が保管されている方。
<利用する情報・項目>
情報:法医解剖結果、検査データ
試料:脳、脳脊髄液、血液、脾臓、リンパ節及び骨髄
【試料・情報を利用するものの範囲】
この研究は、多施設共同研究として、以下の研究機関で実施されます。
この研究で使用する試料・情報は、全て本学及び山梨大学においてオプトアウト(通知又は公開と拒否する機会の提供)し、匿名化されたデータです。
研究責任者
鹿児島大学大学院医歯学総合研究科社会・行動医学講座法医学分野 林 敬人
共同研究機関
研究代表者
山梨大学医学部法医学講座 猩々英紀
研究分担者
山梨大学医学部法医学講座 安達 登
山梨大学医学部微生物学講座 葛西宏威
【資料情報の管理】
鹿児島大学大学院医歯学総合研究科社会・行動医学講座法医学分野 林 敬人
【個人情報の取り扱いについて】
鹿児島大学の疫学研究等倫理委員会に承認を受け、法医学分野の管理下で、個人が特定されないように匿名化(研究に必要な性別や死因などの情報のみを抽出し、第三者によって新たに個人と関わりのない番号または符号を付けること)した上で行います。
【研究の資金源等、関係機関との関係について】
この研究は、共同研究機関である山梨大学が獲得した科学研究費で実施します。本研究に対する企業等からの資金や利便の提供はありませんので、利害の衝突は発生しません。
【参加を希望しないご遺族様へ】
この研究に参加を希望されない場合は、下記問い合わせ先までご連絡ください。
〒890-8544 鹿児島市桜ヶ丘八丁目35番1号
鹿児島大学大学院医歯学総合研究科社会・行動医学講座法医学分野
教授 林 敬人
電話099-275-5310・FAX099-275-5315