臨床目標 『安全な麻酔』
当科の臨床における目標は、『安全な麻酔』です。麻酔は人の機能をすべて抑制するため、麻酔状態にある患者さんは通常よりも危険な状態にあります。
『安全な麻酔』を目指して以下のような取り組みを行っています。
専攻医指導体制の充実
- 専攻医が行う麻酔導入および麻酔からの覚醒は、必ず上級医指導の下で行います。当然のことながら、硬膜外麻酔や中心静脈穿刺などの侵襲的な手技も必ず上級医指導の下で行います。導入後も、その日のチーフレジデントとスーパーバイザーが手術室を巡回し、指導にあたります。
- 手術前日に、手術症例のリスク評価と立案した麻酔計画をチーフレジデントと詳細に検討することで、各種疾患の病態や重症度を正確に判断し、麻酔管理上の問題点を指摘できる能力を身につけます。
さらにスーパーバイザーに検討結果を報告するという二重のチェックシステムに加え、手術当日の朝の症例提示で全員が情報を共有しています。
- 心臓麻酔の指導体制は、国立循環器病センターや、福岡子供病院などで小児および成人の心臓麻酔研修を行った心臓麻酔専任スタッフを中心に、心臓血管麻酔専門医、日本周術期経食道心エコー認定などの資格を有する上級医がマンツーマンで指導しています。
- 超音波ガイド下神経ブロックも盛んで、名古屋大学で200例以上の経験を積んだ上級医が指導します。
- 月曜朝の症例検討会、土曜日(月1回)午前中の論文抄読会を通じて麻酔に関する知識の習得を行っています。
最新設備の充実
- 手術室の新設に伴い、中央監視システムを導入しました。セントラルステーションにて各手術室の人の動き、術野の状況、バイタルサインを監視しています。
- 麻酔自動記録装置、脳波モニタリング装置、筋弛緩モニタリング装置、薬物血中濃度シミュレーション装置をすべての手術室に完備しています。
- 麻酔科医にとって最も重大な問題の一つである気道確保に関して、最新の様々な気道確保ディバイス(マックグラス、エアウェイスコープ、グライドスコープ、トラキライトなど)を導入することで気管挿管困難に対処しています。
- 中心静脈穿刺は超音波ガイド下で行い、その超音波画像を天井からの吊り下げ型大型液晶モニターに映し出し、多くの麻酔科医がその手技を観察し、安全確認および技術の習得に役立てています。